1月17日

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今日は1月17日。阪神淡路大震災から23年です。

あの日わたしは生まれ故郷の東京の町で暮らしていて、報道を見つめながら西宮で暮らす祖父母を案じていました。インターネットも携帯電話も身近にはない時代。玄関に置かれた固定電話の重たいダイヤルを回し続け、ようやく繋がった瞬間涙で滲んだ母の声が忘れられません。

自宅が全壊した祖父母の暮らしを再建するために、西宮へ越したのはそれから間もなくのこと。10歳から25歳という多感な時期をその土地で過ごしたわたしにとっても、今日という日は特別な日です。

“経験を共にしていないわたし”には、何もわからない。そこに何が在ったのかも、何が起こったのかも、何を感じたのかも、何を抱えているのかも。それだけが実感でした。何もできない自分が、あの日の一瞬で失われてしまった大切な命や景色の中に居ることの難しさは、10歳という年齢でも十分に感じたことでした。

とにかく、失われたものの輪郭に土足で踏み入らないように。変わり果てた土地にのこる跡、手向けられた花や声にならないものを見つめ、耳を澄まし、その輪郭をそっと感じとりながら過ごした15年が、今のわたしの制作活動の原点でもあります。

 

経験した人とそうでない人のあいだにある隔たりは、どれだけ経とうと埋まるものではないというのが23年経った今の実感ですが。

それでも、その輪郭を見つめ、耳を澄ますことを続けたい。その一つのかたちとして、預けられたものを綴じ、手渡しで贈るという手製本での交わし合いを、静かにを続けていきたいと思います。

緑地公園のblackbird booksさんで開催中のmichi-siruve exhibition「汀の虹」は11~20時まで。今日は在廊していませんが、静かに佇む本や花たちとの時間をお過ごしください。

写真は展示作品『掌の記憶』花小金井、『sakura no machi』より、故郷花小金井の桜です。

 

michi-siruve  exhibition「汀の虹」

「小さな詩と花、お贈りします」

“心の揺らぎ”を綴じた豆本詩集『汀(みぎわ)の虹』。本におさめた小さな詩と花を、blackbird booksの白い壁一面に浮かべます。作家在廊時は壁からお好きな詩と花を預り、その場で本に綴じてお贈りする“Book”と“Box”の制作も承ります。本屋さんの片隅で、本づくり。本に触れた方の声を預かるために、あなたの一冊をお贈りするために、静かにお待ちしています。

※在廊日はお知らせページ、およびFacebookイベントページで後日お知らせします。

開催期間
2018.1.16(tue)~1.28(sun)
平日11:00~20:00
土日祝10:00~19:00 ※月曜定休

開催場所
blackbird books
〒561-0872 大阪府豊中市寺内2-12-1 緑地ハッピーハイツ1F
TEL  06-7173-9286
北大阪急行(御堂筋線) 緑地公園駅より徒歩5分
http://blackbirdbooks.jp

 

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