本を贈る日、本を贈る人

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最近本屋さんやお花屋さんで目にする、本やお花を贈る「サン・ジョルディの日」。その日にあたる4月23日は、実は私の生まれた日でもあります。

小さな頃は、自分の誕生日はなんの記念日でもないと思っていて、七夕生まれの母がうらやましかったりもしたのですが。今改めて調べてみると「サン・ジョルディの日」「本の日」「世界図書・著作権デー」「子ども読書の日」などなど、本とつながりのある記念日がたくさんありました。「サン・ジョルディの日」には男性から女性にお花を贈り、女性から男性には本を贈る風習があるそうで。その日に生まれた私が「掌の記憶」という小さな本を贈り続けているというのは、何かの巡りあわせだろうかと思ったりもします。

今まで綴じた「掌の記憶」を数え直してみると、24篇でちょうど100箱(2冊で1箱に入って1篇です)。手元にあるのは24篇1箱ずつですが「あの人にも贈りたい」と増刷を承ったりしながら綴じ続けているうちに、今では日本のまちに100箱の「掌の記憶」が散らばっています。

そんなことをぼんやりと振り返っていた昨日、いつもお世話になっている造形作家の馬場謙二さんから大きな本をいただきました。どういうことかといいますと…

掌の記憶」をおさめるBOOK型展示台。今綴じ終えている24篇が、ちょうどきれいにおさまりました。それぞれに一番印象的だった写真を表紙にしている、大切な本たち。こうして見つめなおすと、それぞれの本を通して出会った人の顔が一人ひとり浮かびます。

いつも本を綴じることばかり夢中な私に「こんな台があったら、もっと掌の記憶が映えるんじゃない?」と、馬場さんが図面を描いてくださったことがきっかけで生まれた大きな本。展示の見せ方から持ち運びのことまで配慮して、細やかに作り上げてくださった一点モノの台です。

表紙には屋号のプレートがはまっていて、背までしっかりと装丁。内側の仕切りも調節できるようになっていて、縦に詰めれば100箱くらいは入るそう。1年半前に作っていただいた初代展示台よりもずいぶん軽くなり、これで展示旅がぐっと身軽になりました。付属の白板は「洋裁家のレトロボタン」の展示板にもなっていて、2つセットで肩から下げられるようになっています。大きな本とトランクを抱えた旅人。街中で出くわすとますます不思議な人かもしれませんが、軽やかにあちこち飛び回りながら、これからも本を贈り続けたいと思います。

お披露目は、5月6(土)~7日(日)の松山での展示にて。またその詳細は改めてお知らせします。馬場さん、とっておきの本をどうもありがとうございました。大切にしますね。

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