2017-05-31

「キャリアデザイン」 @関西学院大学

2017年4月25日、関西学院大学 人間福祉学部 社会福祉学科の「キャリアデザイン(社会保障と企業)」という講義で、ゲストスピーカーとしてお話しする機会をいただきました。

福祉の現場実習に行かないという選択をした3年生を対象にしたこの講義。社会福祉学科での学びを軸に、一人ひとりの卒業後のキャリアを描いていくことを目的として、さまざまな業界で活躍されている方々が講師を担当されています。私は同学科の卒業生という立場から、学生の皆さんの“今”と講師の皆さんのフィールドをつなぐ人として「メディアのちからを、ひとりのために」というテーマで卒業後10 年の足跡をお話しました。

「社会福祉学科で学んだことは?」

「企業での経験から得たものは?」

「そして今、福祉的なまなざしをもって続けている活動は?」

学部時代の同級生でもあり、今回声をかけてくださった橋川先生から預かった「5つの問い」と、その答えに関係する私の足跡を「2つの震災と3人のいのち」という形で交えながら、社会福祉学科卒業後、印刷・広告・Webとメディア制作の現場で学んできたこと、がん闘病を経てZINE作家として人の記憶を本に綴じる活動を続けていることなどをお話しました。

 

22年前。生まれ育った東京を離れ、阪神・淡路大震災で被災した祖父母と暮らすために震災後間もない上ヶ原に越してきたこと。

15年前。祖父が寝たきりになり「生きること」に大きな問いが生まれ、大学案内で知った武田丈先生の元で学びたいと関学の社会福祉学科に飛び込んだこと。

12年前。自分はどう生きることに関わりたいのかと悩みに悩み、現場実習に行くこと、つまりは社会福祉士を目指すことをやめた時の葛藤。

10年前。武田先生の元で参加型アプローチによるソーシャルワークのかたちを知り、まずは祖父のように表現する術を失ってしまった人たちの役に立つ力をつけようと、メディア制作の現場に進んだこと。

3年前。自分自身もがん闘病を経験してサバイバーとなり、今まで感じてきた震災や病によって断ち切れてしまったものを、本づくりを通してつなぎなおす活動をはじめたこと。

喪失を目の当たりにしては、自分に何が出来るだろうと問い続けた22年と、その道のりでの挫折や助けられたさまざまな人との出会いについて、ありのままをお話ししました。3分の2ほどお話をして、残りの3分の1は自由時間としてZINEの展示と質問会というゆるやかな講義でしたが、講義後の対話やコメントカードを通して、学生さんが今までの人生や家族のこと、将来のことなどを語ってくださったり、書き綴ってくださったり。それぞれの言葉から、今までの人生とこれから先のキャリアをつなげるヒントとして受け取ってくださった学生さんがたくさんいらっしゃって、とても嬉しく感じました。

社会福祉学科での学びはすべての人の生と地続きで、自分の生と遠くの誰かの生も、生と死ももちろん地続き。在学当時は目の前のことに必死で、そのように捉えることはできていませんでしたが、10年ぶりの母校の教室でひとりの卒業生、そしてがんサバイバーとして立ち、足跡として伝える中で、私自身も改めてそのことを見つめなおすことができました。

 

講義後は恩師の武田丈先生の元へ。3年前、がんを経験した時につくった「残された時間で、お礼を伝えたい人リスト」で一番最初に浮かんだのが武田先生で、祖母の遺品を綴じ終えた節目にメッセージを送るとすぐに研究室で迎えてくださり、「記憶を綴じる」活動につながる研究資料をたくさん紹介してくださったのでした。学生時代、そしてその時にも改めて先生から教えていただいたことが、今の活動の根幹にあります。そして何より、ふらりと訪れた卒業生にもすぐにレスポンスをくださり、フラットに迎え、また歩みなおすきっかけをくださった先生の姿は、自分が目の前の人と向き合う時の道しるべでもあります。

そんな感謝を改めてお伝えしながら、今の大学のことなど伺いながらのひととき。「みちは今何歳だっけ?」という問いかけから、先生が私の歳だった頃から今日までの足跡をお聴きしたり、先生がこれからやっていきたいことを伺ったりする中で、私自身も今日からのキャリアを描きなおす大きな節目の日になりました。

そんなこんなで、関西学院大学での4年間があったからこその今の自分。そのことを改めて感じる機会をいただきました。講義の貴重な1コマにお声がけくださった橋川先生、熱心に聴いてくださった学生の皆さん、そしていつもあたたかく迎えてくださる武田先生、本当にありがとうございました。私なんかでお役に立てることがあれば、いつでも、どこへでも。これからもよろしくお願いいたします。

michi-siruve (みちしるべ)
“記憶”を綴じるZINE作家。「掌の記憶」を綴じながら、日本のまちを巡っています。>>詳しくはこちら
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