2015-12-27

【Interview】Goto-tomorrow 後藤幸祐さん(1/3)

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香川県唯一の馬具職人によるハンドメイトの上質な革犬具を製作・販売されているGoto-tomorrow(ゴートゥ― トゥモロー)ブランドディレクターの後藤幸祐さん。香川県高松市にある工房に伺い、企画販売を担う後藤さんと、製作を担う馬具職人の藤田裕二さんから、じっくりとお話をお聴きしました。

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#1 良い革の犬具を作りたい

── 今日は皆さんお集まりくださり、ありがとうございます。Goto-tomorrowは後藤さんと藤田さんで製造から販売までされていらっしゃるブランドなのですね。

後藤:Goto-tomorrowは私たち株式会社スリーキューブが企画及び販売を担い、製作を藤田裕二さんにお願いしています。実は私と藤田さんが小学校の同級生で、同じ野球部のスポーツ少年団に所属して両親共にコーチをしてたりと、藤田さん一家とは小学生の頃からの付き合いですね。藤田のお父さんが馬具店の4代目でずっと馬具を作っていらっしゃったので、グローブの紐が切れてはいつも直してもらっていました。

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── 一緒にGoto-tomorrowを立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?

後藤:これも昔話ですが、叔母の飼っていたエルというラブラドール・レトリバーが、すごく懐いてくれたんです。元々革製品が好きだったので、エルに良い革の首輪を買おうと探した時に、当時の日本では安く売っている品質のあまり良くない首輪か、メゾンブランドが作る高い首輪しかなくて。高校卒業後アメリカへ留学して、アメリカにならあるだろうと改めて探したのですが、やっぱり見つからない。帰国後ペット屋さんを見ても、デザイン的に優れていても、長く使うことのできる良いものかというとそうではない。そんな経験があって、しばらくして馬具職人の藤田さんたちと何か一緒にやっていこうという時に見せてもらったのが、馬具の世界では昔からある製法で作られた丸革首輪でした。藤田さんのところは40年ほど前から丸革首輪を店頭販売されていた歴史もあったので、まずはこれを売ってみようかというスタートでしたね。

── 同級生の藤田さんと一緒にやっていこうというのは、何か特別な想いはありましたか?

後藤:まず私自身、本当に革製品が好きなんですよね。革製品の一番良いところは、良い革を使ってきちんとした製法で作ったものであれば修理して何年も使い続けることができる点だと思っているのですが、藤田さんとであれば製造から修理までお願いすることができる。馬具や革製品自体の需要も徐々に減りつつあって、お父さんが4代目、そして幼馴染の彼が5代目を継いで生涯仕事を続ける中で、一翼を担えればいいなという想いもありました。けれども、鞄や他の革製品では競争も激しいですし、立ち上げた当時は15年くらい前で、まだまだ雑誌やTVがメディアとして強くて、何か打ち出そうと思うとすごくお金がかかる時代だったので、あくまで犬具に絞ってやっていこうと始めました。

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── 藤田さんが犬具を製造販売されたきっかけは?

藤田:昔は今のようなペット用品店というのはなかったですからね。馬具と同じ革でできるので、一緒に作ってお店に置おくと買っていかれる方がいたので作っていました。

後藤:この丸革首輪は元々柴犬の品評会用の首輪としても使われていたものなんです。犬の毛が切れないようになるべく細いものを作られたもので、昔からあったこの製法にもう一度注目してみようとこの商品から始めました。

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── Goto-tomorrowの「きちんとした素材、きちんとした製法」というこだわりについて詳しくお聞かせいただけますか?

後藤:「きちんとした素材」というのは使っている牛革の品質ですね。栃木レザーのオイルなめしといって、ドイツ製のオイルを革の奥まで染み込ませたものを使っています。オイルレザーといっても安物のオイルが使われていることも多いと聞きますが、ドイツ製のオイルと明記されたものはぐっと値段が上がるんですよ。

── オイルによっても、そこまでの差がでるんですね。

後藤:高級家具のオイルフィニッシュなども、ドイツ製のオイルが多いそうです。例えば、首輪であればワンちゃんが動くことで外からの圧力がかかり、油分が拡散していくことによって使い込むほどに革が柔らかく、色が濃く変化します。ドイツ製のオイルは分子が小さい分、革の奥深くまでたっぷりと油分が浸透するのが特徴で、油分が多く含むことで、雨に多少濡れる環境下でも中々パリパリにはなりません。人の肌で想像してもらうと分かりやすいかもしれません。

── 作った時の差以上に、使い込んでいく中で大きな差が出てくるということですね。

後藤:この首輪は私の飼っているゴールデン・レトリバーが3年使っているものです。外で使うと、普通の革の首輪では表面がパリパリにひび割れてしまいますが、ひび割れもなくこれだけ柔らかい状態を保てているのは、油分を多く含む良い革だけを使っているからです。ある展示会でうちの首輪を使ってくださっているお客様も「うちの子は泳ぐのが好きで、首輪つけたまま飛び込んでしまっても、革がカチカチにならなくて良いわ」と言ってくださって。推奨はできませんが、良い革を使っている分そういった環境でもひび割れすることがなく柔らかいので、ワンちゃんにとってもストレスなくお使いいただけます。

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Interview,Writing,Photo :藤田理代(michi-siruve)
2015年10月5日取材

【Interview】Goto-tomorrow 後藤幸祐さん(2/3)

*このインタビュー記事は、2015年にWebマガジン「LABEL JOURNEY」で掲載していた記事を再編集したものです。

michi-siruve (みちしるべ)
“記憶”を綴じるZINE作家。「掌の記憶」を綴じながら、日本のまちを巡っています。>>詳しくはこちら
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