2016-07-04

【Report】母校企画展「記憶の華」

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母校企画展「記憶の華 -kioku no hana-」レポート

2016年7月1~2日の2日間、母校の西宮市立西宮高等学校の文化祭で「記憶の華-kioku no hana-」という展示をひらき、この半年間で制作した「掌の記憶」16篇を初展示いたしました。

母校展示について、高校3年生時のクラスメイトでもあり、湘南で画家として活動する中川裕賀さんからお声がけいただいたのは4月中旬のこと。ふと振り返ると私は卒業から14年間一度も母校を訪れたことがなく、毎日が勝負でひたすら走り続けた日々であったことに、その時初めて気が付きました。

西宮の市立高校は2校のみということもあり、当時お世話になった先生もたくさん残っていらっしゃることを知り、せっかくならば先生方と在校生の皆さんに、同級生作家2名の卒業後14年間の軌跡を報告するような企画展の形にできないだろうかと、在校当時にお世話になった学年主任の先生に相談をしながら、卒業生展示の教室の半分をお借りして「記憶の華 -kioku no hana-」という企画展の形を試みる運びとなりました。

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今から14年前、私たちは同じ教室で机を並べたクラスメイトでした

人の“心”を描いた絵を贈る AddBlue 中川裕賀
人の“記憶”を綴じた小さな本を贈る michi-siruve 藤田理代

高校時代の記憶が宿る母校の教室に再び集い
卒業後14年間の歩みの中で生まれた作品と
創作を通して出会った人々と咲かせた「記憶の華」を展示します

創作の種を育んでくれた母校に 記憶の華を咲かせる2日間
ぜひあなたの記憶も重ねにいらしてください

西宮市立西宮高等学校 第55回生  AddBlue 中川裕賀 michi-siruve 藤田理代

この言葉をもとに、母校の教室の机で2つの円を描き、それぞれの14年間で制作した作品を並べて軌跡を描いた「記憶の華」を1輪ずつ作り、黒板には創作活動で出会った人々から「高校生へ贈る言葉」を預かり、掲示する形を取りました。

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michi-siruve 1.「14年の軌跡」14年前の卒業アルバムに卒業後の軌跡を重ねた作品。

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michi-siruve 2.「記憶を綴じる」 『母のまなざし』『かぞくのことば』『otomo.

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michi-siruve 3.「家族の記憶」 『掌の記憶』-高岡-、 『掌の記憶』-音川-

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michi-siruve 4.「まちの記憶」 『掌の記憶』-御手洗-、 『掌の記憶』-花小金井-

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michi-siruve 5.「場の記憶」 『掌の記憶』-逆瀬川-、 『掌の記憶』-淡路島-

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michi-siruve 6.「職人の記憶」 『掌の記憶』-立杭-、 『掌の記憶』-柏原-

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michi-siruve 7.「クリエイターの記憶」 『掌の記憶』-池田-、 『掌の記憶』-芦屋-

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AddBlue 1.「歴史に刻めこの瞬間を」 

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AddBlue 2.「絵に感謝や決意をこめて」 

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AddBlue 3.「絵が想い出を呼び起こす」 

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AddBlue 4.「絵で挑戦の扉を開く」

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AddBlue 5.「微笑み合う夫婦の肖像」

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AddBlue 6.「絵を描き、贈る喜びを共有したい」

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AddBlue 7.「心から自由な自己表現を目指して」

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Eiko Kobayashi Branding Project

展示がはじまるまでは、分刻みで出演や観劇の続く文化祭の忙しい合間に、接点のない卒業生の展示を見に来てくれる人はいるだろうかと不安もあったのですが、先生がアナウンスしてくださったこともあり、懐かしい先生や卒業生の方々、興味を持ってくださった在校生や保護者の方々、地域の中学生や来場者の方など多くの方が記憶の華を囲みながら、ご自身の記憶も重ねて話しかけてくださいました。今まで町の映画館や、ギャラリー、アートブックフェア、図書館、書店など様々な空間での催しや展示に関わってきた中で「学校、教室という空間の持つ共有する力」というか、教室という場で出会い、共有する知識や記憶の伝わり方や響き方、それぞれの心へののこり方の特別さを実感しました。

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また、14年前の先生が載っている思い出の卒業アルバムに高校卒業後の軌跡を振り返りながら記憶を重ねた「14年の軌跡」が在校生に大人気で、先生方の懐かしい写真を見つけておおはしゃぎ。皆走り去っては友達を連れてきての繰り返しで、部活や服装の話などから話も広がり、とても微笑ましい光景でした。

本を持ってきた私と、手にとった在校生の子たちの間で1冊の本から生まれるコミュニケーションの力。学校の教室という場だからこその卒業アルバムという本の強度を感じ、誰が、どこで、どんな風に手にとるかによって変わる本の力の可能性も感じました。

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そして何よりも「記憶の華」として、かつてのクラスメイトで共に運動部マネージャー、大学進学から企業への就職を経てフリーランスになり、人の心や生きることをテーマに創作しているという共通点を持ちつつも、絵を描くことと言葉と写真で綴じることという表現方法の違い、感性や人との関わり方も含めてコントラストもある中川さんとの展示は相乗効果や気づきがあり、1人では絶対生まれ得ないものがたくさんのこりました。

「掌の記憶」としては初展示ということもあり、本の持ち主の皆さんから「あなたにとって掌の記憶とは?」という問いへの言葉をいただいて気づいたことや、本を作って終わりではなく続いている関係がとてもかけがえのないもので、「掌の記憶」という活動、そこから生まれる人との出会いをこれからも大切にしようと改めて感じる機会にもなりました。

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14年前と変わらずまっすぐな言葉で向き合ってくださる先生方、古いものが好きだと熱心に見てくれた箏曲部の女の子、部活の後輩にあたるバスケ部の男の子、進路に迷う中で視野が広がったとメッセージをくれた女の子、作家活動に興味があると夢を語ってくれた女の子、高校でも部活を続けたいが大学受験の勉強と両立ができるか迷っていると相談してくれた中学生の女の子、高校生への手紙を1通ずつ読んでくださっていた方々……教室という空間で出会い、交わした想いを振り返りながら、その方々の記憶に何かのこるものがお贈りできていたら嬉しいなと思います。

最後になりましたが、今回14年ぶりにふらりと訪れた卒業生をあたたかく迎え、新しい試みを応援してお力添えくださった先生方に、14年越しのささやかな感謝の気持ちをこめて、レポートの結びとさせていただきます。「掌の記憶」の初展示としても、懐かしい記憶の宿る母校の教室で開催して手にとっていただけたことも本当に嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。今回いただいたたくさんのものを抱きしめ、向き合いながら、本を贈ることを通して人が生きることと向き合い続けていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

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展示終了後、在校当時にお世話になった先生方、一緒に展示をした同級生の画家 中川裕賀さん(中央左)と。

michi-siruve (みちしるべ)
“記憶”を綴じるZINE作家。「掌の記憶」を綴じながら、日本のまちを巡っています。>>詳しくはこちら
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