2015-12-31

【Interview】陶芸家 佐藤陽介さん (3/3)

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見通しが良い縁起物の「れんこん」モチーフを中心に、陶のうつわやアクセサリーを制作されている陶芸家の佐藤陽介さん。陶芸家として歩んできた道のりや創作への想いをお聴きしようと、兵庫県三木市にある工房へお伺いしました。

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*神戸の湊川にあるcafe Shizukuさんのスープランチ。スープの器は佐藤さんの作品です。

#3  ものづくりとしての最高の瞬間

── これから挑戦したい作品はありますか?

佐藤:最近はより人に必要とされるもの、役に立つものを作りたいという感覚も出てきています。これまでは、変な言い方をすると我を出す、個性を出す感覚で。でも個性は出そうとして出すものでもなくて、もう在るもので、その上で僕が作ったものをみて「この人が作った」ということを忘れてもらえるのが、ものづくりとしては最高の瞬間なのかなと。日々の暮らしで使う作品がほとんどなので、例えば食器であれば料理がすごく美味しそうに見えるもの。使い手の人が「良かったな」とその瞬間に作った僕のことは忘れてもらえたら、ものとして成り立っているのかなという気がします。

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── 例えば今から10年後、こうしていたいという思いはありますか?

佐藤:10年後はお店を持ちたいなというのはありますね。今はマーケットに自分で出店していて、それは続けつつも「ここに行けばある」という場所は1つ、小さくてもあると出会いが広がるのかなと。何かしら自然を感じられるようなところがいいかなと、工房は海の近くがいいなとも思いますが、同じ自然でも場所によって全然違いますし、中々難しいですね。何か心地の良いところがいいですね。おじいさんみたいですが。

── 場所からもらうものってとても大きいですよね。創作活動については具体的な思いはありますか?

佐藤:常に新しいものを作っていきたいけれども、まだまだ勉強不足ですね。もっと刺激を受けて、自分の中の枠を広げていくことをしないといけないかなと。もっと作って、遊んで、人とも出会って輪も広げていきたい。でも浅くというよりは深く、色々なものを大切にしていきたいと思います。

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── 最後に、佐藤さんにとって陶芸とは?

佐藤:まだまだ途中というか、今の段階では。改めてとなると緊張しますね。僕はうつわを作って、それを仕事にしていますが、そこから学ぶことの方が多すぎるというか。そういうものが1つ見つかっていてよかったです。

── 自分の生み出したものから何かを学ぶという言葉が響きました。

佐藤:結婚という感覚とどこか似ているのかもしれないですね。うつわも、同じ時がないというか。その時その時で同じうつわでも違っていて、こういうものだと決めつけてしまうと楽しくないですし。結婚も毎日2人の新しい関係を築いていくもので、自分ばかりでは成り立たないというか。両方あって新しいものが生まれて、そこからまた色々なものが広がる。やはり結婚とも似ているのかなと思います。自分自身が変化しているからかもしれないですが、これからも陶芸、うつわを通じてそこから学び続けると思います。

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取材後記

優しい佇まいで迎え入れ、インタビューに応じてくださった佐藤さん。お話の中で「感覚」「面白さ」「学び」という言葉が何度も出てきて、それが佐藤さんの手を通して生まれる1つ1つの作品に宿っているように感じました。インタビュー終盤「陶芸とは?」という問いに答える中でふと、結婚と感覚が似ているのかもしれないと奥さんのことを思い浮かべながら話されていた佐藤さん。陶芸をとおして、自分の目の前に生まれる作品、そしてご家族やお客さまとも向き合い学びながら日々歩みを進める佐藤さんのお人柄や生き方に触れ、聴き手としても大切なことを教わったひと時でした。この記事をとおしてそんな佐藤さんの魅力、そして新たな出会いお届けできたらなと思います。

*陶芸家 佐藤陽介さんブログ http://ameblo.jp/utsuwa2011/

Interview,Writing,Photo :藤田理代(michi-siruve)
2015年9月13日取材

*このインタビュー記事は、2015年にWebマガジン「LABEL JOURNEY」で掲載していた記事を再編集したものです。

michi-siruve (みちしるべ)
“記憶”を綴じるZINE作家。「掌の記憶」を綴じながら、日本のまちを巡っています。>>詳しくはこちら
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