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【2】「作業環境を整える」篇 | 自宅アトリエのつくりかた

自宅アトリエのつくりかた ‐ZINE作家が大切にしている20のこと-

自宅の限られたスペースも
わたしだけのアトリエに

ZINE作家michi-siruveが
自宅アトリエで大切にしている20のこと

【2】作業環境を整える

(5)製本机のこと

製本机は3代目だけれど
今のデザインが一番使い勝手がよい

とにかく無駄がなくて
綴じるための十分な作業スペースと
収納スペースがあって

モニターはミニマルな
スタンドの上に据え置き
L字型の天板の手前に
ノートパソコンを置いて
レイアウトの微調整を重ねながら印刷し
印刷原稿を広げて断裁・製本も並行できる

天板の奥には小さな本棚もあって
製本の設計図をまとめたノートや
よく見返す本たちが並んでいて

足元の収納棚には
PCまわりのアクセサリや
参考書籍、書類、紙見本まで
アナログとデジタルが共存

すべての道具が手の届く範囲にあって
レイアウトデザインから印刷製本まで
座ったままでできるのが効率よく

スムーズな制作を支えている
縁のしたの力持ち的な存在

(6)製本道具のこと

michi-siruveの製本は
誰でも気軽に制作できるようにと
できる限り製本用の特別な道具は
使わないようにしていて

道具はかなり少なく
小さなペン立てひとつと
小箱ひとつにおさまるくらい

製本専用の道具は
製本家の先生から教えていただいた
牛骨とテフロンのヘラが1つずつと
三角定規くらい

製本用ではないけれど
穴あけに使う裁縫用の目打ちやおもし
穴の断面を削るための医療用メス
あとは桜の木でできたカッターと
サークルかったーがひとつずつと
よく切れるはさみ

製本糊はあえて使わず
木工用ボンドで代用できるような
紙や綴じを選ぶようにしていて
糊付け用の刷毛や製本の時に使う針
キリも100均で手に入るもので代用

金差しが長さ違いで
30cm、50cm、100cmの3種
カッターマットもA3とA1の2種

A3サイズの大きな断裁機もあるけれど
自分の手先の方が微かな調整や
仕上げがやりやすくて
結局ほとんど使っていないような

きちんとした製本とは
とても言えないけれど
「ちょっとやってみたい」人が
気軽に試せるような身軽な装備で

(7)紙の保管のこと

紙は白くて風合いがあるものがすきで
澄んだ水面のような透明や
初雪のような白や
淡いグレーのあわいの色合いが
自然と集まってしまう

外箱や表紙に使うようなとっておきの紙は
四六判(788 mm × 1091 mm)で購入しないと
幅が足りないことも多いけれど

本文は印刷をする関係で
プリンターに通るA3〜A4サイズの紙を
100〜500枚単位で購入して
ハトロン紙で包んだまま積んで保管

自宅アトリエでは
湿度も含めて厳密に管理するのは難しく
時を重ねて傷んだり
褪せたりするのも味と捉えて
あまり神経質に管理はしていないけれど

できる限りクリーンな状態は保てるよう
A4サイズの紙は蓋付きの
ボックスにしまったり

薄手の四六判であれば巻いて
紙や袋で包んで保管したり

巻くことが難しい
厚みや質感の四六判だけは
専用の紙置き場をつくって
重ねて保管したり

このご時世、紙の値上がりはもちろん
廃盤も少なからずあるので
紙に関してはお気に入りは抱え込んで
あちこちに分けて何とか保管している

(8)プリンターのこと

アトリエや展示で
ZINEを手にとってくださった方に
紙や印刷方法について
尋ねられることが多くて
家庭用のインクジェットプリンターです
とお伝えするといつも驚かれる

元々印刷会社で
本づくりに携わっていたので
インクジェットプリンターの限界や
水濡れや経年で滲んだり
褪せたりしてしまうことも
十分に承知はしているけれど

販売目的でもないささやかなZINEに
高い印刷費はかけられないし
かといって小ロット対応の
格安のネット印刷で
限られた紙でお任せの色味で印刷すると
イメージ通りとは程遠いし

ちゃんと印刷に立ち会いながら
自分の目と手で色合いや風合いを調整して
クオリティを担保できる
自宅アトリエでの印刷の方が
自分の性にはあっている気がして
結局すべてアトリエの
インクジェットプリンターに一任

といいつつもプリンターの機能には
実はあまりこだわりがないというか

試してみたい素材や表現に挑戦して
かなり過酷な紙や使い方をしてしまうので
消耗品だと割り切って
ミニマルな機能の
安価に手に入る機種にして
ローラーの不具合やかすれが出てきたら
潔く買い換えるというスタイルに

トレーシングペーパーや和紙など
推奨されていない紙(※)も使ってみたり
純正インクも使わないので
壊れたらメーカー修理も対象外

本当に無茶な境目はこえないように
日々のメンテナンスにも気を配りつつ
この12年で4台目

年数以上に相当な枚数を刷ってきたので
一般的な寿命くらいは
十分印刷できているかなと

昨年必要に迫られて、少し高めの
A3印刷可能な機種に変えたので
ちょっと及び腰ですが
今のところ元気に動いているのでよし

※本記事で紹介している印刷方法は、michi-siruveの制作環境における一例です。推奨されていない用紙やインクの使用は故障の原因となる場合がありますので、ご使用の際は各メーカーの案内をご確認ください。

(9)整理整頓のこと

最初に本格的な製本を教わった
ドイツ人の製本の先生は

美しい手製本を綴じたければ
製本机と手元は常に清潔にと
口を酸っぱく注意してくれていた

主に製本糊を使う工程での
糊の扱いに対する助言だったけれど

作業空間自体が清潔で
整理整頓されていることも
作品に反映される気がして
いつでもクリーンな状態を心掛けている

製本机以外に仕舞っている素材たちも
同じ白い箱に仕舞って
規則正しく箱で並べて
ラベルを貼って整理整頓

それが手製本の佇まいにも
宿るような気がして

(10)手入れのこと

道具やアトリエの空間の手入れは
一番大切にしている

道具や空間の状態が
作品の品質に影響するというのは
印刷会社時代の仕事で叩き込まれたし

その後取材の仕事で
日本各地のさまざまな分野の
職人さんや作家さんの
アトリエを訪問していた時も
それぞれの道具や空間に宿る
作家性のようなものを強く惹かれた

ZINEづくりでいうと
断裁に使うカッターの刃は
みんなが想像しているよりも
うんとまめに替えるとか
印付けの鉛筆も
いつもぴんぴんにしておくとか

そういった作品のクオリティに
結び付く手入れはもちろんのこと

紙粉が溜まらないように
毎回きちんと掃除するとか
どれだけ暑かろうが寒かろうが
窓を全開で換気をして
空気をリセットするとか
定期的に家具も動かして天井・壁・床まで
綺麗に拭いておくとか

加工された紙なんて
体によいものではまったくないので
紙粉は吸いこむと健康にも影響するし
何より火災の火種になる

このからだで、この空間で
長く制作を続けるためにも大切なこと


自宅アトリエのつくりかた ‐ZINE作家が大切にしている20のこと-