
「掬することば」- kiku suru kotoba –
地震や大雨のことが気になり綴れずにいたのですが、2018年6月30日で絨毛がんが寛解して丸4年が経ちました。がん、つまりは命に関わる突然の病を患い4年。
病がもたらす心身の喪失感。患者、家族、医療者それぞれが抱える孤独。その中で何かを表現する、そして交わすことの難しさ。それを痛感してきました。そしてそれ以上に、交わすことができたときに生まれる力もまた実感してきました。だからこそ「交わすきっかけづくり」ができないだろうか?とことばを紡ぎ、自分の手で綴じる手製本(ZINE)という表現で制作や展示を続けた4年でした。
一方で、それでもまだ綴じれずにそこからこぼれてしまっているものもたくさんあります。それをもう一度「ことば」としてのこして置きたい。そんな想いから、5年の節目に向けて「掬(き)くすることば」- kiku suru kotoba – というかたちで「ことば」を掬い上げ、見つめなおして経験をひらいてゆくことにしました。
がんという孤独の中で受け取った「ことば」
先の見えない暗闇の中で発した「ことば」
そんな「交わしたことば」に立ち返ってこの4年間を改めて見つめなおしたい。そこで闘病中、またその後見守ってくださった皆さんのお力もお借
具体的には
□ あなたがわたしに贈ったことば
□ わたしがあなたに贈ったことば
から、あなたの記憶にのこっているものをわたしに教えていただきたいのです。
何かメッセージを交わしたSNSやメール、手紙のやりとりの中で、記憶に残っていることば。(スクリーンショットし
ことばのディテールは正確でなくて大丈夫です。綺麗なことばや前向きなことばばかりを集めたいわけではありませ
がんになったひとりの人間が、まわりの人たちからどんなことばを受けとり、発し、交わしながら5年という月日を歩んできたのか。その足あとや心の変化を「交わしたことば」からそっと浮かび上がらせたいのです。
本当は自分で全部記憶して、記録できていたら良かったのですが。綴る力のないような日も多く、綴り損ねたことばたちをたくさんこぼしてしまいました。確かに記録されていたスマートフォンもある日落として壊してしまい、治療中からメールやLINEで交わして残していた大切なことばの大半が消えてしまいました。
一生懸命握りしめて記憶していたはずのことばも、いつの間にか指の間から砂のようにこぼ
でもひとりでは限界があって、今回こういったかたちで「ことばあつめ」のお願いをすることにしました。直接交わしてはいないけれど、わたしのZINEやWebサイト、
「掬することば」制作の流れ
1.この5年間にあなたとわたしの間で「交わしたことば」を募集します。今から1ヶ月後の、8月中旬を目処にことばをお送りください
2.いただいた「ことば」を元に、交わした当時のことを二人
3.「ことば」と
4.その後、最終的にはZINEに綴じる予定です。
ちなみに「掬することば」には、ことばひとつにつき、石を1粒選んで添える予定です。ZINE『ココロイシ』にも綴じたハート形の石。77粒をZINEに綴じてそのうち27粒にことばを込めましたが、その本からもこぼれた石があと153粒あり、箱の中に眠っています。すべて撮影しなおして「掬することば」の230粒を1粒ずつにことばをおさめる予定です。
そんなこんなで、またわかりにくいややこしいことをはじめますが、しっかりかたちにして届けたいなと。みなさんの力と記憶を貸していただけたら嬉しいです。
がんに限らず、突然の喪失や孤独を経験した人とも共にできるような「ことば」にして届けたいと思っています。また一人ひとりお願いさせていただきます。よろしくお願いいたします。