認定NPO法人マギーズ東京の1周年記念号として発行された『HUG』第2号の「私を支えてくれた人」という特集で、がん経験者の一人として私たち夫婦の物語もご紹介いただきました。
がんの経験について改めて記すと、私は3年前に妊娠をきっかけに絨毛がんを発症し、流産、手術、抗がん剤治療を経験しました。そして治療中までは何とか頑張れたけれども、寛解後長らく立ち直ることができなかった人でした。正確にはがんと流産、祖母の死の3つが同時に来たことに昔からの持病も積み重なり気持ちの整理がつけられず「でも生かしてもらったのだから恩返しせねば」という想いに心がついていかぬまま、自分を見失っていました。
そんな私を闘病前から今日まで一番傍で見守り続けてくれた夫…遡れば小学校の同級生として出会い、大学ではチームメイトとして切磋琢磨し、そして今はパートナーとして…人生の大切な時期をずっと共にしてきた夫とインタビューを受けました。
自分よりも辛い治療を経験しながらも前向きに強く生きている方はたくさんいらっしゃって、私の話で本の貴重な1ページが減ってしまって良いのだろうか?と最後まで悩んでいたのですが。取材してくださった『HUG』編集部の小久保よしのさんのあたたかい言葉に背中を押され、闘病後長らく人として・パートナーとしての自信を失い未来を見失っていた時期のことも含めて、ありのままをお話ししました。そんな私にずっと寄り添い励まし続けてくれた夫の言葉をよしのさんが掬い上げ、紙面に綴ってくださっています。夫をはじめこんな私を見守り続けてくれた家族や友人には本当に感謝しきれませんし、霧の中でもがいていた私が自分のなりの一歩を踏み出すきっかけをいただいた場所でもある『HUG』の発行元、マギーズ東京の皆さんにも改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
手元に届いた『HUG』を読んで感じたことは本当にたくさんあるのですが、同じ見開きの記事が『HUG』の表紙デザインもされた広林依子さんの記事でした。お会いしたことはないのですが広林さんのハフィントンポストの記事はずっと読んでいて、9月末にマギーズ東京で参加した「生きる」を考えよう、語ろうのイベントでも本当に偶然、グループトークで同じ班だった方々から彼女のお話を伺う機会がありました。最後の最後まで作品制作を続けていらっしゃったことやのこされた方々に向けた言葉をそえた冊子も遺していらっしゃったこと。お話を伺った方々の言葉から感じた「のこすこと」そして「生きること」を最後まで続けた彼女の姿勢、上手く言葉にはできませんが私の心に強く響いています。本当にとにかく、私もまわりの人のためにできることをこれからも一つずつ続けていこうと、その想いを強くしました。
「私を支えてくれた人」がんに限らず本当に人の数だけ物語があり、その人の色、その人らしさがあります。その人らしさのグラデーションを“HUG YOU ALL”、すべての人生を抱きしめるというあたたかなまなざしで捉えたこの『HUG』という雑誌、ぜひ皆さんにも手にとっていただきたいです。
『HUG』はマギーズ東京で、もしくは下記URLからもご購入いただけます。制作者の皆さんの善意と想いだけで本という形になり届けられている雑誌。本だからこその温もりに制作者の皆さんの思いやりが加わり本当にあたたかい雑誌で、売上は全額マギーズ東京の運営費になるそうです。関西から距離的には少し遠いですが、だからこそ関西でもたくさんの方々が触れる場にもどんどん置いていただきたいです。場を持たれている方、ぜひこの『HUG』を手にとり、もし良ければ皆さんの大切な方々も手にとれる場所に置いていただけたら嬉しいです。
2人に1人ががんになる時代。がんでなくても何かを失うということはいつも突然に訪れ、誰しもが孤独や苦しみを経験するもの。だからこそ、支えてくれた人と支えてもらった人の物語が詰まったこの雑誌を道標としてお届けしたいです。拙いながら目一杯の感謝の気持ちをこめてのご紹介でした。『HUG』のこと、マギーズ東京のこともっと知っていただきたいので、シェア大歓迎です。この長い投稿を最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。