【Report】「掬することば」@フェリス女学院大学 音楽学部 音楽芸術学科

「医療と音楽」緩和ケア医の儀賀理暁さんと
2026年6月4日(木)フェリス女学院大学 音楽学部 音楽芸術学科の「医療と音楽」という講義のゲストスピーカーとしてお話しました。
声をかけてくださったのは、緩和ケア医の儀賀理暁さん。2022年の「医療と音楽」、2023年の「心と音楽」、2024年の「医療と音楽」、2025年の「心と音楽」の講義と毎年時を重ねて5年目の講義です。
「掬することば」~「わたし」を「聴す(ゆるす)」ということ~
2022年以降、毎年儀賀さんからその年の講義の中心となる「キーワード」を預かり、そのことばを学生のみなさんと一緒にみつめながら過ごすひとときを重ねてきたフェリス女学院大学での時間。
5年目となる2026年の「医療と音楽」で儀賀さんからお預かりしたキーワードは「喪失」でした。

わたしにとって「喪失」とは、10代からずっと抱え続けてきたもので、どれだけ時が経っても癒えてゆかないものでもあります。なので、喪失自体の捉え方を変えるような体験談や、折り合いのつけ方のヒントはお渡しすることは諦めて、喪失により抱えた「いえなさ」とともに生きてきた学生時代から今日までの「わたし」についてお話することにしました。
特に、ここ最近儀賀さんとご一緒してきた埼玉大学 教育学部 養護教諭養成課程のみなさんとの講義や関西学院大学 人間福祉学部 人間科学科の藤井美和先生のゼミでの講義などでの学生のみなさんとの時間でも、大学時代の体験や考えていたことなどありのままのわたしをお話する意味を感じていたので、フェリス女学院大学での講義でも大学時代の体験をお渡しすることにしました。
テーマとしては2026年、儀賀さんとみつめている「聴す(ゆるす)」ということばをここでも一緒にみつめられたらと「掬することば」~「わたし」を「聴す」ということ~として、学生のみなさんと一緒に90分を過ごしました。



72枚のことばたちと
今年も、学生のみなさんの「大切な誰か、大切ななにか」を掬するみちしるべになればと、2025年に儀賀さんとのことばの記憶をまとめたZINE『掬することば』にちりばめられた72枚の「ことば」を展示し、講義がはじまるまでの間に学生のみなさんに気になることばを1つずつ選んでいただくという時間を持ちました。
講義でご紹介するほかのZINEも一緒にならべて、一面に広がることばやZINEを一緒にみつめながら。選んでくださったことばを頼りに、集まってくださったみなさんの記憶や想いも伺いながら。
当日や後日おきかせいただいた学生のみなさんからの声の一つひとつは心の中に留めますが、その輪郭を感じられるような当日の様子を残せたらと、いくつか抜粋したスライドも置いておきます。



スライドの一部はこちら















ZINE『掬することば』についても、昨年のフェリスの講義では試作版が完成した頃で、このZINEがわたしや儀賀さんにとって、また読み手のみなさんにとってどんな存在であるのか捉えきれていなかったのですが、1年間このZINEとともにさまざまな場所で読み手のみなさんと対話を重ねるなかで、少しずつことばにできたこともお渡ししました。
学生のみなさんが選んでくださったことば、そのことばを選んだ時に思い浮かんだこと、そしてそのことばを掬した儀賀さんとわたしのことばのやりとり。一つのことばで呼ばれるさまざまな「わたし」を少しずつ重ねながらのひとときとなりました。



詩と歌で届ける意味
講義の最後は今年も、わたしの孤独だったがん体験を綴った2篇の詩と、その詩を儀賀さんが歌にしてくださった2つの抒情歌『ココロイシ』『汀の虹』をお届けするという時間を持ちました。
「わたしにとって、とても大切だったもの」を失ったいたみ・いえなさの響きを宿した詩の朗読に続く、儀賀さんのあたたかいギターの音色と歌声。そのあたたかさに宿る「それはずっと大切にしていていいんだよ」とそっと認めて背中を押してくださるような響きこそ、「聴す」ということのひとつのかたちなのかなと。
また、わたし一人が綴った詩の時点ではただただ「わたしの詩(うた)」だったものが、儀賀さんが歌詞を添え、メロディをつけて歌にしてくださったことで儀賀さんの存在が加わり「わたしたちのうた」になっていったこと、その表現から育まれるものもあらためて感じました。
学生のみなさんからのコメントからも、この詩と歌をわたしたちの声で届けることでわかちあえる何かがあることを実感したひとときとなりました。

また、今回の講義では「michi-siruveにしかできない」「michi-siruveだからこそ」のことばや表現を感じたという感想を複数いただきました。世の中に溢れる「情報」とは異なるものとして「わたしだからこそのことば」として感じてくださったこと、それはとても励みになりますし、これからも大切にしたいなと思います。
今年もまっすぐな声をきかせてくださった学生のみなさん、本当にありがとうございました。
最後になりましたが、今年もフェリス女学院大学の学生のみなさんとともにみつめる機会をくださった儀賀さん、出会った学生のみなさんへの感謝の気持ちをこめて、ここに綴り残します。
本当にありがとうございました。



