【Report】「がんの当事者になって」 @金城学院大学 人間科学部 コミュニティ福祉学科

2025年7月、金城学院大学 人間科学部 コミュニティ福祉学科の「現代社会問題」という講義で、ゲストスピーカーとしておはなしする機会をいただきました。
声をかけてくださったのは、金城学院大学の橋川健祐先生。学生時代、関西学院大学 社会学部 社会福祉学科でともに学んだ同級生でもあります。
2017年は関西学院大学の「キャリアデザイン」の講義で、2019年、2020年、2021年、2022年、2023年は金城学院大学の「現代社会問題」の講義で。コロナ禍にはオンライン形式をとっていた時期もありましたが、2017年から9年間、7回にわたり学生のみなさんと学びの時間をともにする機会をいただいています。



「現代社会問題」の講義では、社会問題を社会福祉というまなざしで捉えることだけでなく「自分事として考える」ために、社会問題の当事者や支援者の方がゲストスピーカーとして学生のみなさんと関わることも大切にされていて、わたしは毎年、若くしてがんを経験した当事者として体験をお話していますが、毎年悩みながらも学生のみなさんからいただくたくさんの感想をみちしるべに、毎年少しずつ形を変えながらお届けしてきました。
今年は、タイトルを「がんの当事者になって 〜若年の希少がんの体験と、患者・家族・専門職との協働について〜」とし、個人のがん体験だけではなく、michi-siruveとして患者・家族・支援者というそれぞれの立場の方々と重ねてきた協働や、その協働を経て今感じていることなどをご紹介し、その後は橋川先生と一緒に、学生のみなさんの問いにこたえながら、考える時間も持ちました。
そんな今年の記録として、このページにもスライドの一部を置いておきます。
スライドの一部はこちら












学生のみなさんにがんの体験をおはなしする時、いつも大切にしていることがあります。それは「わたしの体験や考え」がイコール「すべての患者(当事者)」ではないということを共有したうえでお届けするということです。
この講義も含めて、専門職を志す学生さんの前でおはなしすることも多いので、学生のみなさんが専門職となり、もしくはいち市民として何かを発信するとき「そうあれない人はいないだろうか」と問うたり、目の前の一人ひとりと関わる時「この人の気持ちはどうだろうか」と問うたり、そんな誠実な問いを立てられる思いやりをともに育んでゆけたらという思いでいつも届け方を模索しています。
もう一つ大切にしているのが、学生のみなさんがご自身のこれまでの体験や想いを重ねながらきいていただけるような届け方にできないかということです。
中にはご自身やご家族やご友人ががんを経験された方もいらっしゃるかもしれませんし、がんに限らずとも突然に、もしくは長きにわたり、大切なものを揺るがすような体験をしたり、これから先の人生で体験される方もいらっしゃるかもしれません。そんなみなさんが、何かしらのいたみやいえなさ(言えなさ・癒えなさ)、孤独を感じた時、ふと思い出していただけるような何かが手渡せたらなと。
願いが届いたかはわかりませんが、講義後に学生のみなさんからいただいた感想には、お一人おひとりの「わたし」の気持ちや記憶、これからへの想いが綴られていて、少しはこの講義のなかでのわたしの役割が果たせたのかなと、ほっとした気持ちでいます。
何よりそんな風に今年の講義を届けることができたのは、ほかでもないこの6年間でこの講義きいて感想を寄せてくださった学生のみなさんと、その時間に伴走してくれた橋川先生の存在があってこそだと思います。こうした関わりあいの中で歩んでこれた学びの時間に、感謝の気持ちでいっぱいの6年目の講義でした。
そのような機会をくださった橋川先生と学生のみなさんへの感謝の気持ちもこめて、本当にありがとうございました。今年またいただいた種を手のなかにもって、これからの日々に生かしていきます。
