【Report】「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」がん体験者の語り 登壇(2026)

2026年7月25日(土)~7月26日(日)、公益財団法人 日本臨床腫瘍学会主催の「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」にて、がん経験者として体験談をお話する機会をいただきました。
腫瘍内科医を志す医学生、初期研修医、専攻医のみなさんが集まり、同じ志をもつ仲間とともに学び・語り合い、これからのキャリアを考えるきっかけとなる場として2018年から開催されてきたというこのセミナー。2023年、2024年、2025年に引き続いて、プログラムの中の「がん体験者の語り」の時間でがん体験の講演のお声がけをいただきました。
このセミナーでは「Patient Journey」をテーマに一人の患者さんの人生に腫瘍内科医としてどう伴走してゆくかを考えるというグループワークがあり、そのワーク議論を醸成する一助となるようながんの体験談をお話するという役割をいただいています。
初めてご依頼いただいた時は「腫瘍内科医の先生に治療していただいた経験もなく、抗がん剤治療を受けた経験はあるとはいえ9年も前で再発もなく寛解・治癒した体験しかないわたしでよいのだろうか?」と不安でいっぱいでしたが、4年目もご依頼をいただき、今年の精一杯をお渡ししてきました。



今年もテーマの大枠は変えずに、患者が「いえる(言える・癒える)」助けとなる関わりとはという言葉を据えていますが、今年のセミナーを企画・運営される先生方が参加者のみなさんに届けたい想いを伺い「患者が治療や医療者のみなさんに期待すること」によりフォーカスし「こんな関わりや声かけがあったらいいな」という願いとともに、関わりの方についてともに考えられるよう、内容を見直しました。
なかなか本音が「いえなかった(言えなかった・癒えなかった)」という体験自体は変わりませんが、「こんな関わりや声かけがあったらいいな」という願いに変換することで、話者のわたし自身も過去のがん体験を前向きにみつめなおすきっかけをいただいた気持ちです。この変化を体験することができたのも、企画者の先生方からの働きかけがあったからこそで、患者と医療者の関わりあいの一つのかたちなのだと感じました。感謝の気持ちをこめてスライドの一部だけ記録として置いておいきます。
スライドの一部はこちら
















今年はもう一つ大きな変化として、がん治療の体験談だけではなく、治療後にmichi-siruveの屋号で病院や地域の専門職のみなさんと重ねてきた、患者・家族・支援者が立場をこえて想いをわかちあうきっかけづくりとしてのZINE制作や移動アトリエの実践についても紹介する機会をいただき、講演内での紹介に加えて会場内でも展示を行うことができました。
分刻みでプログラムが詰まったセミナーということもあり、展示物はAYA研の時より絞りましたが、わたし自身のがん体験や緩和ケア医の儀賀さんとの共同制作作品や、依頼主の大切な記憶を綴じた「掌の記憶」、病院や地域でひらいているZINEづくりの移動アトリエ「記憶のアトリエ」で並べている作品、2度の希少がんを経験した大輝くんの18年を見守り支えた14名の専門職とご家族の寄稿文で紡いだZINE『lead-off man』など、大切な作品たちをご紹介する機会をいただきました。
このセミナーのひと月前に登壇した第8回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会 市民公開講座と、学術集会会場でのZINE展示をみてくださった先生からのお声がけで実現した展示ですが、参加者のみなさんがプログラムの合間に展示を覗いてくださったり、講演後にお声がけくださったり。
結果として「患者」として治療の体験だけを切りとって伝えていた過去3年よりも、わたし自身の「Patient Journey」のことも患者や家族という立場やそれぞれの人生のグラデーションも、より深くわかちあいながら医療の場でこれからできることを一緒にみつめるひとときをいただけたような実感がありました。
「がん治療の体験談」という枠をこえて、一人の人間、人生も含めてわかちあう機会をくださり、本当にありがとうございました。
最後に、これはこのセミナーのレポートで毎年綴っていることですが、今年も参加者のみなさんや企画・運営されている先生方、スタッフのみなさんから心のこもったお声がけをたくさんいただいた2日間となりました。
毎回毎回、お一人おひとりがこれまで関わってこられた患者さんやご家族さんとの記憶も重ねながら、今この瞬間に感じていることをご自身の言葉で率直に教えてくださり、患者・医療者という立場をこえて、人と人として向き合ってくださるあり方がとても有難く、患者として心強いなと感じすし、そんな医療者のみなさんご自身の人生も大切に、ともに治療を歩めることも願いながら、わたし自身ができることをこれからも重ねていきたいと思います。
最後になりましたが、今年もあたたかく迎えてくださり、細やかなお心配りとともに企画運営をしてくださった日本臨床腫瘍学会のみなさん、本当にありがとうございました。人との出会いや再会に支えられていることを改めて感じながら、これからも一つひとつのご依頼に精一杯向き合いできることを重ねていきたいと思います。


