【Report】患者が「いえる(言える・癒える)」助けとなる関わりとは @研修会でのがん体験談(大阪)

2024年9月21日(土)、がん医療に従事されている医療者のみなさんが集う研修会にて、一昨年・昨年に続き希少がん経験者として体験談をおはなしする機会をいただきました。


どんなご依頼でも「藤田さんに」とお声がけいただけることは有難いのですが、一度ご依頼くださった方から「今年も藤田さんに」とご依頼いただけるのは、本当に有難いことだなといつも感じます。と同時に、今年もきちんと役目を果たせるだろうかと自問自答しながらの登壇でもあります。


個人的なこだわりとして、継続してお声がけいただいている会でも、月日の経過とともに変化するものやいただいた感想から気づいたことを反映して毎年少しずつ形を変えてお届けしています。

昨年の話が良かったからまたお声がけいただいているだけに「変えることで改悪にならないか?」と、いつも自問自答ですが……わたしをとりまくいろんなものが日々変わってゆくように、聴き手のみなさんの日常や関わる相手の環境も日々変わっているのだからと、その年その年で聴いてくださった方のご感想とその奥にあるその方の日常を想像しながら、少しでも聴き手のこれからにつながるように「今の“ほんとう”を届けたい」といつも試行錯誤しています。

変えたことでご依頼の意図から逸れていないかは毎年ご相談しながらですが、今年も罹患から10年を経た「今の“ほんとう”」をお渡ししてきました。


体験談の主な構成は変わらず、まず患者としての背景や、罹患後10年という患者人生の旅路という大きな流れをみなさんと共有します。

治療中の患者さんやご家族と関わるみなさんにとっては「治療中」の体験が一番みなさんの日常に近く、体験談としても必要とされていることではありますが、その前後の旅路も含めて共有することで患者さんの「その前後(治療前後)」を想像しながら「いま、関わる」ことの助けになればという想いがあり、治療前後の旅路も簡単にお伝えするようにしています。

次に、治療中の「いえなかった(言えなかった・癒えなかった)」体験を、いくつかの具体的な場面や言葉、理由とともにお話して、そんな「いえなさ」を感じとり触れてくださった医療者の方の関わりや、治療後に「いえる(言える・癒える)」ようになったいろんな方々の関わりについても少しご紹介します。

「いえなかった(言えなかった・癒えなかった)」体験は年を重ねるごとに言語化して伝えられるようになり、「いえた(言えた・癒えた)」体験は年を重ねた出会いや再会の分だけ増えてゆき、そんな変化も研修会の運営者のみなさんと共有しながらの今年の体験談となりました。


また、今年も研修会の最初から終わりまで参加させていただきました。

がんの体験談の講義の前後に、参加者のみなさんがどのような時間を過ごされているのか。その時間や日々のお仕事の中で、参加者のみなさんがどのようなことを感じ、考え、集まっていらっしゃるのか。自分自身もその研修会全体の流れの中に居て、多職種のみなさんの声をきかせていただくことは、患者体験に縛られがちな視野を広げる助けにもなっています。

今年も体験談の前後も含めて、参加者・運営者のみなさんが一声ひと声、それぞれの専門職のまなざしとご自身の言葉で感じたことをお話してくださり、新たにいただいた気づきや学びの種がたくさんありました。いただいた言葉は心の中に留めて育み、明日からの日々に生かしていきたいと思います。


最後に、今年のスライドも少しだけ置いておきます。

今年もお声がけくださり、お聴きくださったみなさん、本当にありがとうございました。これからもともに考える一人として、一つひとつのご依頼に精一杯向きあいながらできることを重ねていきます。

スライドの一部はこちら
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