『かげあつめ』

『かげあつめ』(2020)

いつもお世話になっている「かげあつめ」の浅井郁さんからのご相談で、2冊の異なる手製本の原稿をお預かりして試作を綴じる…という面白い試みに挑戦しました。

お会いしてお打ち合わせという訳にもいかないこのご時世。メッセージのやりとりを重ねながら、綴じの候補や紙の候補を交わしながら形を決め、お送りいただいた原稿をぶっつけ本番で製本してゆくというハラハラドキドキな作業。原稿に添えられたメッセージやペーネ見本を元に、パズルを組み立てるように綴じてゆく作業はとてもわくわくしました。離れているのに、いつも以上に密なところもある不思議な体験。

綴じた手製本の1冊目は、浅井さんが共同制作中のかげと短歌えほんの綴じ見本。15センチ各の可愛らしいサイズを「Interlocking Tab Album」の変形版で綴じ、ケース入りにしました。無事綴じ終えて、一番目の読者に。本になると一筋の流れが生まれて、かげと短歌のせせらぎ?囁き?を満喫しました。

2冊目の大判ポートフォリオは薄手の色や質感の異なる紙の連なりだったので、crownbindingの変形版でかっちりとは仕上げずあえて表紙も背もくったりしなやかなままに。触れていただくと判るのですが、ふにゃふにゃのアコーディオンのような不思議な感触です。

「柔い」というのは製本としての役目を果たせていないという面もあるのでそのまま魅力とは言いづらいものですが。その本を置くシチュエーションによっては柔いからこそ大事に、ドキドキしながら触れていただけることもある。そんなことをご相談いただく度に試みながら。今回もわくわくたのしい制作でした。浅井さん、お声がけありがとうございました。

『かげあつめ』かげと短歌えほん
data
150mm×150mm/バウム・Interlocking Tab Album
モノクロ/ケース入り
綴じ 藤田理代 (michi-siruve

『かげあつめ』ポートフォリオ
data
210mm×210mm/洋紙・crownbinding
モノクロ
綴じ 藤田理代 (michi-siruve

このページの内容