昨年末のこと。2024年を見つめながら、心に浮かんだ小さな想いをSNSで呟いてみました。
来年はがんになり10年の節目
自分の【この10年】を振り返るような手製本の制作と
誰かと一緒に【この10年】を振り返り、綴り、分かちあえるような
ささやかな場がひらけたらいいなとぼんやり考えています
これまでも、3年や5年の節目に患者としての体験や気持ちを見つめては本に綴じてきましたが、10年という節目に浮かんだのは【「自分のことだけ」はもういいかな】という気持ちでした。
10年という月日をかけて出会いなおしたさまざまな立場の方との丁寧な関わりと対話の中で、患者として抱え続けてきたいたみを少しずつ「言える」ようになり、少しずつ「癒えて」きた。みなさんと歩んできたこの10年を、一緒に綴り分かち合いたいな。
そんな想いで【この10年】という言葉を呟いてみたところ、共感してくださった方々からいろんなメッセージをいただきました。
この10年で出会った患者仲間はもちろん、ご家族や医療者、医療者のご家族の立場の方からも「自分の10年を振り返った」「わたしもこの10年を綴じてみたい」と、いろんなメッセージが届き、何だかとても嬉しかったです。
そんな嬉しい気持ちを大切に育みながら、それぞれの【この10年】を持ち寄り、ともにつくる喜びを味わいながら。みなさんと一緒にこの10年を緩やかに振り返る1年にできたらなと思っています。
まずはこの10年の記憶をおさめる手製本の制作からはじめています。
この10年としていますが、10年でなくても、これからの10年でも。手製本も、できる限り手にとってくださった方が自由にお使いいただけるかたちにできたらなと『*petal』と『flower*』という2つの試作をすすめています。
ひとつ目は『*petal』(花弁)という名の手製本。
花弁のような紙片と記憶をおさめるまっしろな封筒、そしてこの10年のカレンダーが添えられたレターセットです。
(2014年~2024年なので11年分のセット。花弁は11種類、封筒ごとに異なるお花を添える予定)
歩んできた道のりに散らばっている記憶のひとひら、ひとひら。一つずつ掬いあげ、手元に置きたいものだけそっとおさめたり、綴りたいことだ一片綴ったり。無理なく綴ることができる軽やかな手製本です。
封筒のサイズはL版写真やポストカード、観劇チケットや航空券がおさめることができるように、紙も包容力のあるしっかりとした紙で試作しています。
仕様はまだかわるかもしれませんが、細かな形やサイズは下記をご覧ください。
『*petal 』 レターセット
【この10年】の記憶を
ひとひらずつ綴りおさめる
小さな紙片『*petal 』
真っ白な封筒とpetal柄の小さな紙片のセット
ささやかな記憶のひとひらを
自由に綴りおさめる小さな紙片と封筒が
11年分のセットになっています
L版写真やポストカード、観劇チケットや航空券など
大切な記憶を欠片をそのまましまうことができます
※この10年分のカレンダー付
もうひとつは『flower*』(花)という名の手製本。
こちらはトラベラーズノートに近いサイズのまっしろな手製本で、『*petal』と同じpetal柄の紙片とこの10年のカレンダーも添える予定です。縦長の手製本- tate – と横長の手製本 – yoko – の2種類からお好きなかたちをお選びいただけます。
(本のカバーをpetal色に染める予定。こちらも花弁は11種類、異なるお花を添えます)
「本に綴じる」のは封筒におさめるより考えることも多いかもしれませんが、掬い上げた記憶に“1冊の本”というひとすじの流れを授けることで生まれるつながりやリズムが運んでくれるものもあります。
こちらもL版写真やポストカード、観劇チケットや航空券がおさめることができるサイズで、包容力のあるしっかりとした紙で試作しています。
『flower*』 手製本
【この10年】を綴じる
小さな手製本『flower*』
11年分の記憶を綴じる小さな手製本
縦長の手製本- tate – と横長の手製本 – yoko –
L判写真や航空チケットなどもすっぽりおさまる
包容力のある手製本です
『*petal』と同じpetal柄の紙片と
この10年のカレンダーもついています
※カバーのpetal柄は全部で20種類あります
お好きなpetalをお選びください
この『*petal』&『flower*』はpetal – (花弁)という言葉のとおり、michi-siruveのこの10年を支えてくれたお花の力を借りたいなと思っています。
そんな想いを、この10年お花の力と微笑みを届けてくださった大切な方に託して、15種類のpetalをお願いしています。
それぞれの【この10年】を持ち寄り重ねながら、誰かとともにつくる喜びを味わいながら。春ごろを目標に手製本の制作をすすめています。
こうして少しずつかたちになってきた手製本ですが、制作の根底にあるのは
この10年で出会い
各々の時を重ねてきたみなさんとそれぞれの10年を分かち合えるような1年が過ごせたら
というささやかな願いです。
10年前にがん患者としてさまざまな「いえない(言えない・癒えない)」想いや体験を抱え込んでしまったひとりとして。
それ以上に、10年という月日をかけて出会いなおしたさまざまな立場の方との丁寧な関わりと対話の中で、かなしい記憶やつらい経験も含めて少しずつ「言える」ようになり、少しずつ「癒えて」いったひとりとして。
誰かと分かち合うことのあたたかさや有り難さを大切に想っているからなのかもしれません。
まだ試作しながらのふわりとした状態ですが、ささやかな願いをこめて。
手製本は少し多めに綴じて、がんとの関わりに限定せず必要としてくださる方にお贈りできたらと思っています。
もし可能であれば、この10年でもそれ以前でも
出会い、それぞれの時を重ねてきたみなさんと、ちいさく集って一緒にこの10年を綴りあうような移動アトリエもひらけたらうれしいな。
もしなにかご一緒できそうなことがあれば、メッセージいただけたらうれしいです。
10年の節目に、#worldcancerday に寄せて。
完成した手製本は下記をご覧ください