フォーラム 「歌うように伝えたい~旅路からの思い」フライヤー(2026)

「歌うように伝えたい~旅路からの思い」フライヤー(2026)

2026年3月14日(土)に開催されるNPO法人日本がんサバイバーシップネットワークさんの設立5周年記念フォーラム 「歌うように伝えたい~旅路からの思い」のイベント告知用フライヤーを制作しました。


がんサバネットさんは「がんの影響を受ける人が、つながり、生きる喜びを実感し、自らの力を蓄えられるような交流の場を」という言葉のもと設立されたNPOで、患者さんはもちろん、ご家族、医療者・支援者の方も含めてさまざまな体験をもつ方々、全国各地から集い交流を重ねています。わたしもがん経験者の会員としてイベントに参加したり、HPやSNSの更新、フライヤーの作成などを時々お手伝いをしています

フォーラムのフライヤー制作は昨年に引き続きお声がけいただきましたが、最初にフォーラムの企画者である村本さんから企画にこめた想いとお写真を預かりした時、俳優の塩見三省さんがゲストでご登壇くださるとおききして飛び上がるほどびっくりしました。

これまで観てきた、そして観たあとも心の奥のとっておきの場所に大切に仕舞っているような作品にいつもいらっしゃる俳優さんであり、ご自身のご病気の体験を綴られた『歌うように伝えたい』は、その言葉をいくつもメモするほどずっと大切に持っていた本だったからです。

これは自分のできる精一杯を注がねばと、塩見さんのご著書はもちろん、ご出演作品やインタビューなど、ひとつひとつに出会いなおしながら制作しました。


フライヤーにこめた想い

フライヤーのデザインは、塩見さんの今日までの旅路をお聴きしたいというフォーラムの想いを伝えるために、『歌うように伝えたい』の装画の色あいを大切にする案を考えました。ただ、この装画は塩見さんご夫妻が長年大切にされている絵画作品であるということも知り、その色あいをこのようにお借りしてもよいのだろうか?この作品を想うお気持ちや、今回お越しくださるにあたってのお気持ちと離れていないだろうかと、一つずつ確認しながら進めました。

今回のフォーラムならではのものとして、第二部の座談会が、登壇者のみなさんがそれぞれに重ねてきた日々や想いを静かに奏で合うひとときとなればという願いをこめて、五線譜や音符を添えています。このフォーラムにこめられたがんサバネットさんの想いが、フライヤーを目にしてくださったみなさんの心にも届くことを願っています。

『歌うように伝えたい』の読者として

わたし自身、10 代で阪神・淡路大震災の被災者家族、脳出血の患者家族、20 代で流産をともなうがん患者としての体験もあり、災害や病によりある日突然に大切な何かを失い、元通りにはなれないそのあとを生きる人が抱える「いえなさ(言えなさ・癒えなさ)」のようなものとともに生きてきた背景があります。

それゆれ、自らの体験を言葉にしようと向き合うことはもちろん、ご本人やご家族の手記やインタビューはもちろん、専門職による取り組みや専門書まで、いろんな表現に触れながら「言葉にする」ことの難しさや尊さを感じてきたのですが、塩見さんのご著書『歌うように伝えたい』を初めて読んだ時、塩見さんの言葉に宿る身体性というか、“このわたし”(この心と、この身体)が感じたことを冷静にみつめ、繊細に紡がれた一言一言にはっとさせられることが何度もありました。

ちょっと「はっとした」というものではなく、読み手であるわたしも自分の心や身体の感覚を取り戻し、心や身体、人生をみつめなおすほどの力のある、ほんとうのことばでした。

それは誠実な舞台や映画に出会った時の感覚と似たようなものがあって、俳優という、わたしとってはこの社会に存在するさまざまな感情や想いや人生にひかりをあて「確かにあるもの」としてわたしたちの心に届け、分かち合うきっかけをくださるかけがえのない存在である塩見さんが綴ってくださった言葉だからこそなのかなとも感じています。

今回フライヤーを担当するにあたり、2021年に出版された初版の単行本と、2025年に4年という年月を経て改稿・出版された文庫版を比べながらながら、変化を一文字ずつ拾い、初版の単行本に鉛筆で朱書きを入れながら読み返す時間を持ちましたが、その想いをより強くしています。

何より、フォーラムという場で、塩見さんご本人から今のお気持ちをうかがえること。そして、病種をこえて語り合う機会をいただけること、ほんとうにこんなびっくりするような時間が人生に訪れることがあるのだろうかとまだ夢のような気持ちです。

フォーラムは、がんサバネットさんの会員に限らず、非会員の方もオンラインからご参加いただけるそうです。詳しくはがんサバネットさんのご案内ページをご確認ください。みなさんとともにできること、心からたのしみにしています。