【Report】「記憶のアトリエ」@オレンジティ

「記憶のアトリエ」@オレンジティ
– 若くしてがんを経験した私たちの‘時間 とき’を綴る –
2026年2月7日(土)10:30~、認定NPO法人オレンジティさんからお声がけいただき、第88回オレンジティ定例会 オレンジブロッサムCafé100 回記念企画のプログラムのひとつとして、小さな本づくりのワークショップ「記憶のアトリエ」@オレンジティ – 若くしてがんを経験した私たちの‘時間 とき’を綴る –をひらきました。
「記憶のアトリエ」は、2018年からわたしが各地の病院や地域で医療者や福祉の専門職のみなさんと一緒にひらいている、本づくりの移動アトリエです。
病院に隣接した空間でがん患者さんやご家族、ご友人、病院の職員さんやそのご家族と一緒にひらくこともあれば、大学の先生からのご依頼で看護や福祉、心理を専攻する大学生のみなさんの講義の1コマとしてひらくこともあったり、支援に携わるNPOのスタッフさんや病院の職員さんのセルフケアのための時間としてひらくこともあったり、開催場所やご依頼くださった方の想いにあわせてさまざまなかたちで開催してきました。

今回ご依頼をくださったオレンジティさんは、静岡を拠点に女性特有のがんのセルフヘルプグループとしてさまざまな活動をされている団体です。わたしもがん経験者として、同年代の女性特有のがんの経験者のみなさんとの交流の場を求めて、オレンジティさんが主宰する『オレンジブロッサムCafé』に参加し、女性特有のがんだからそこの経験や気持ちをわかちあうあたたかな時間を過ごした体験があり、スタッフのみなさんともささやかながら交流が続いていました。
そしてこの度、その『オレンジブロッサムCafé』が100回の記念を迎えるとのことで、若くしてがんの治療をされたAYA 世代がん経験者のみなさんと一緒に、それぞれの今までを振り返り、これからを語り合うプログラムのひとつとして「記憶のアトリエ」をひらきたいというご依頼をいただき静岡まで伺いました。
若くしてがんを経験した私たちの‘時間 とき’を綴る
今回のアトリエには、オレンジティのみなさんが考えてくださったテーマがありました。
若くしてがんを経験した私たちの‘時間 とき’を綴る
手製本は参加者のみなさんお一人おひとりがその方の綴りたいものにふさわしい1冊お選びいただけるようにと、さまざまなかたち手製本をお持ちするスタイルになりました。
テーマが決まってからの数か月は、どんなみなさんがどんな時間を持ち寄ってくださるのだろうかと思い馳せながら手製本を仕立てる日々でしたが、2月の寒い日にもかかわらず、若くしてがんを経験された方や医療従事者・支援者のみなさんがお集まりくださり、あたたかいひとときを過ごすことができました。
アトリエの様子



会場はキッチンも備えた広々としたお部屋で、木製の四角と丸のテーブルの島がいくつかありました。
お越しくださるみなさんを想像しながらオレンジティのみなさんとご相談して、今回は「何人かで集ってわいわい制作できる島」を中心にしつつも「一人でじっくり向き合うことのできる島」もつくることに。窓際に道具や素材を並べる島をつくり、残された空間には角度やリズムをつけながら、作業をしたりお話ができそうな本づくりの島を5つほどつくり、みなさんをお迎えしました。
michi-siruveははじめましての方も多かったのですが、みなさん本当にあたたかくて安心できる空気を纏った方ばかりで、アトリエの素材や手製本も誰かの大切な記憶を綴じた作品も大切に触れてくださり、本当に穏やかなアトリエとなりました。
当日お話したことや交わしたものは参加者のみなさんとの間で大切にするためここには綴りませんが、午前中のアトリエとお昼のランチタイムの交流会、そして午後からのオレンジブロッサムcafeの様子をオレンジティさんが写真を交えてご報告くださっているので、そちらのレポートから当日の様子を感じていただけたらうれしいです。
michi-siruveのWebでもアトリエの空気のおすそわけとして、許可をいただき撮影した手製本のお写真を共有させていただきます。
※会場の蛍光灯の加減で、写真にフリッカー現象(横筋)が出てしまっていました…気づけずすみません。



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同じ素材の島から生まれた手製本でも、お一人おひとりが手にとるものや綴るものにはそれぞれの色やリズムがあって、一つとして同じものがないことにはいつも新鮮な驚きがあります。
今回は「若くしてがんを経験した私たちの‘時間 とき’」というテーマということもあり、お一人おひとりの心のなかにあるなにかを、こうして共有する機会をいただけた時間は本当にかけがえのない時間でした。
いたみを共有できるみなさんと
アトリエも含めて交流会、オレンジブロッサムcafeとみなさんと一緒に1日を過ごして感じたことは「いたみを共有できる、認めあえる」みなさんの存在と、そして一緒に過ごすことができる時間のかけがえのなさです。
もちろん、お一人おひとりのご病気や治療も含めたご経験、罹患から重ねてきた日々は一人ひとり異なるのですが、「若くしてがんになった」といういたみを共有できるということが、本当にわたし自身救われるというか、自分のいたみやそのいたみと共に生きてきた今日までの日々を認める助けにもなりました。
一緒に過ごしてくださったみなさんはもちろんのこと、こうして女性特有のがんのセルフヘルプグループとして活動を続けてくださっているオレンジティのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。
ご依頼をいただいてからの準備期間を振り返ると、当日はあっという間でさみしくもありますが、またこれからもそれぞれの時を歩みながら、折々に再会してわかちあいながら時を重ねてゆけることを願っています。
本当にありがとうございましたとこれからもよろしくお願いしますの気持ちをこめて、レポートの結びとさせていただきます。またお会いしましょう。

