【Interview】陶芸家 佐藤陽介さん (1/3)

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見通しが良い縁起物の「れんこん」モチーフを中心に、陶のうつわやアクセサリーを制作されている陶芸家の佐藤陽介さん。陶芸家として歩んできた道のりや創作への想いをお聴きしようと、兵庫県三木市にある工房へお伺いしました。

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#1 作りたいという最初の気持ちを大切に

── 佐藤さんは大阪芸術大学 工芸学科 陶芸コースで学ばれて、陶芸家として活動されていますが、そもそも陶芸コースへの入学を決めた動機はどんなものだったのでしょうか?

佐藤:元々は文科系の大学を受けようと勉強していたのですが、高3の11月頃「このままでいいんかな?」とふと考える時があったんですね。そしてどうせやるのであれば好きなこと、ものづくりをやっていきたいと決めたのですが、実は陶芸をしたことは一度もありませんでした。自分の手で、素材に触れて形を作ることがしたいと思いがあって、結果陶芸が一番はまるのかなという感覚でしたね。

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── 一度も土に触れずに陶芸と決められたというはすごいですね。ものづくりをやっていきたいということは、昔から何か描いたり作ったりということがお好きでしたか?

佐藤:記憶を辿ると、小学校の低学年からチラシ裏に絵を描いていた記憶はあります。高校・大学の頃はバスキアという画家がすごく好きで、自由な発想というか、見ていて「気持ちいいな」という感覚があったんです。

自分が何か作る時も、感覚的に「こんな作品が目の前に形として現れたら気持ちいいかな」というイメージは大切にしています。すでにあるものでは、あまり制作意欲に繋がらないというか。

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── 既にあるものに捉われないというのは昔からですか?

佐藤:実は大学受験で2年浪人していて、その時は結構煮詰まって、人のやり方ばかりに囚われていた時期がありました。一番最後「ここであかんかったら諦めようと」挑んだデッサンの試験で、初めて自分で何も考えずに描けたんですよ。それがすごく気持ちがよくて、結果的には大学にも入学できました。当時描いたデッサンは今でも置いていますね。

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── そして、陶芸コースに進まれたということですね。陶芸のことは、どのように学んで深めていかれたのですか?

佐藤:あまり人に聞く方ではなくて、どちらかというと自分の感覚で作ろうというタイプでしたね。人に聞いて教えてもらうという行為が、自分の中でYESではなかったというか。

もちろん、窯についての知識や修理の仕方、作品に合った焼成方法、技術的なことは先生から教わりましたが、好きなものを作りたいという最初の気持ちが一番大切かなと思います。作る過程ではなくて、その前なんですよね。作りたいと思う気持ちが生まれるまでのことを一番大切にしています。

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Interview,Writing,Photo :藤田理代(michi-siruve
2015年9月13日取材

【Interview】陶芸家 佐藤陽介さん (2/3)

*このインタビュー記事は、2015年にWebマガジン「LABEL JOURNEY」で掲載していた記事を再編集したものです。

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