2015-12-19

預かり、綴じて贈る

自分の記憶を辿りながら綴じる行為と違って、人の生や記憶を綴じるというのは本当に難しいことで、震災後多くのものが失われた町で、被災経験を共にしていない人間として育った私は「そこには触れてはいけない」と、ずっと避けて暮らしていました。「掌の記憶」をはじめる時にもそのことを一番気にしていて、とにかく結果的に自分の表現のために誰かの人生を消費したり、利用したりするような形にならないようにという想いをこめて「預かる」「綴じる」「贈る」という言葉を選び、いつもこの言葉に立ち返るようにしています。

綴じるのは預けてくださった記憶だけ。綴じたものは贈る。1冊手元にのこした本も、私のものではなく預かっているもの。その意識はこれから先も忘れないように、ここに改めて記しておきます。

michi-siruve (みちしるべ)
“記憶”を綴じるZINE作家。「掌の記憶」を綴じながら、日本のまちを巡っています。>>詳しくはこちら
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