今日、生まれてはじめてヘアドネーション用に髪を切ってもらいました。3年半前にがんの治療を終えてから伸ばし続けた、個人的にも思い入れのある髪です。
“髪”について少し綴ると、昔から化粧もそこそこ素のまんま、洋服も新しいものを次から次へとというようなタイプでもない私にとって、髪は“自分らしさ”をあらわす重要な要素。日々の暮らしと共にある大切な自分の一部でした。なので落ち込んだ時や大切なことがある前は、必ず美容室にいって美容師さんに助けてもらいます。そんな私が埼玉から豊中へ引っ越してから6年以上、がんになる前もなってからもお世話になっているのが曽根にあるchez-moi igrek(シェモアイグレック)の吉冨晃司さんです。
がんになる前まで勤めていた企業が比較的自由だったこともあり、カラーもパーマもカットもすべていつも吉冨さんにお任せ。伸ばしたいか切りたいか、明るくしたいか暗くしたいか、何か近々イベントはあるのか。それだけお伝えするとあとは委ねて、すべて終わる頃にはいつも鏡の前に新しい自分がいました。
がんで倒れて入院する少し前は流産手術を受けて酷く落ち込んでいて、そのことは告げずに「絶不調なので気持ちを明るくしたい」と相談に行くと、緑色のメッシュを入れてくれました。その二週間後には倒れて入院手術。入院中は「緑メッシュの急患の若者」として病棟で完全に浮いていましたが、自分を見失うような暗い病院の中でやつれていく自分の“らしさ”の欠片として、そのメッシュは支えの一つになっていました。
ようやく退院して外来化学療法に切り替わるというタイミングになると主人に吉冨さんのところまで連れていってもらい、がんで入院していたこと、今後完全脱毛する可能性があるので今ある髪で自家製ウィッグを作りたいことを相談に行きました。その時おさげにしてカットしてもらい、母が綿の帽子に縫い付けてくれたのが上の写真です。洗い替えできるようにスナップボタンで付け替えられるようになっています。
ヘアドネーション用に束ねてカットしてくださいました
「がんになりました」と言われて驚かない人はいないと思うのですが、吉冨さんは今までと変わらず自然に接してくださり、美容師として「私が髪型を楽しむこと」を楽しみながらサポートしてくださいました。色んな覚悟をこめて髪をばっさり切り落とした時は、ショートヘアが楽しめるように。「肌が弱って何もする自信がない」とお洒落を諦めていた時には「肌に触れないように染められるポイントメッシュを入れてみては?」と提案し、それはそれは慎重に染めてくださったり。それからもう少し経つと、ヘッドスパでリラックスできるように提案してくださったり。
体調面を第一に、でもできることは色々あるよと変わらぬスタンスで髪型を楽しみながら3年半。結局完全脱毛までは至らずに治療を終えたのですが、一時はかなり脱毛も続いて体も肌もすっかり弱り、ぐっとやつれて老け込み見た目にも自信をなくしていました。吉冨さんの提案の積み重ねがとても大きな力になって、今こうしてまた髪型を楽しむことができています。
そんなこんなで自分が生きるために髪型に助けを求めていた私なので、ヘアドネーションのためにピュアな状態で髪を保つことができず諦めていたのですが。 JAPAN HAIR DONATION & CHARITYさんのWebサイトを見ると、カラーやパーマ、レイヤーが入っていてもドネーション自体は受け付けていただけることを知り、今回チャレンジしました。本当は50cm以上を目指したかったのですが、最近体調を悪くして抜け毛がどんどん増えてしまい45cmで断念。役に立つかはわかりませんがお送りして、また伸ばしながら生きている限りは続けていきたいと思います。
断髪直後。色んな意味でさっぱりしました。このあとショートヘアに整え、今はカラーをする自信がないからと寂しくないようにメッシュを入れていただいて完成。また新たな日々のはじまりまです。吉冨さん、いつもありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたします。
大阪府豊中市曽根東町3-2-6 曽根駅前ビル2F
Tel:06-6867-6320
※右側は3年半前の髪(長さが足りないので手元で保管)