【Report】「掬することば」@埼玉大学 教育学部 養護教諭養成課程「臨床医学概説」

養護教諭を志すみなさんと、緩和ケア医の儀賀理暁さんと
2026年1月22日(木)埼玉大学 教育学部 養護教諭養成課程で、養護教諭を志すみなさんが受講する「臨床医学概説」のゲストスピーカーとしてお話しました。
声をかけてくださったのは、2022年からフェリス女学院大学 音楽学部 音楽芸術学科で、2025年には関西学院大学 人間福祉学部 人間科学科の藤井美和先生のゼミの講義でも学生のみなさんと「わたし」をみつめる時間をご一緒してきた緩和ケア医の儀賀理暁さんです。
学生のみなさんのことを知る
今回の講義は、養護教諭として学校で子どもたちと関わる存在になることを志す学生のみなさんとの時間。例年は儀賀さんや他のゲストのみなさんが担当されてきた2コマ分の講義で、今年は先に儀賀さんが担当される90分があり、休憩をはさんでわたしが担当する90分が続くという2部制の共同制作のような時間をご一緒できることになりました。
お声がけいただけてとてもうれしかったのですが、教育学部の学生のみなさんの講義を担当することも、養護教諭を志す学生のみなさんとお会いすることも初めてのことで、大学時代は社会福祉を専攻し、卒業後は一般企業で働くわたしにとっては、学生のみなさんの学生生活がどのようなものなのかや、卒業後のキャリアも知らないことだらけでした。
まずはみなさんが大学という場でどのようなことを学ばれていくのか、そして卒業後は学校の中で養護教諭としてどのように子どもたちと関わっていかれるのか。自分が学生の頃にお世話になった養護教諭の先生のことも思い出しながら、毎年関わりを重ねてこられた儀賀さんにも教えていただきながら、大学のホームページなども読み込みながら、学生のみなさんのことを知るところからスタートしました。
儀賀さんからわたしへの依頼は、これまでさまざまな学問を専攻する大学生のみなさんと見つめてきたように、わたし自身の学生時代から今日までの体験や感じてきたことを手渡しながら、学生のみなさんがご自身や大切な誰かの「わたし」をみつめ、分かちあうことについて感じられるような時間をという内容だったので、その芯の部分はそのままに。
少しでも学生のみなさんの関心と重なるように、いつもよりもわたしが「子ども」だった頃の先生との関わりや、今ZINE作家として活動するなかで、特に子どもたちとの関わりがあった事例などを多めに織りこんだお話を携えて伺いました。
まわりの人には打ち明けづらい悩みを抱えていた小学生の頃の記憶。養護教諭の先生の関わりでみつけることができた持病と主治医の先生のこと。そして大人になり、ZINE作家として関わってきた子どもたちとの時間で感じていること。このあたりのお話は、今回初めてお話できたことのように思います。
「わたし」をみつめ、分かちあう
儀賀さんの講義が90分と、わたしの講義が90分。
前半の時間は、ライブ感溢れる儀賀さんのリードでさまざまな「いのち」(という「わたし」)をさまざまな視座からみつめ、そして一人ひとりの「わたし」に耳を澄ませ、表現しあい、分かちあう旅のような時間でした。
そこからバトンを受けとった後半の時間は、さまざまな当事者体験を抱えながら学生時代を過ごした一人の歩みとしてわたしの体験をお話して「わたし」をみつめ、分かちあうような時間に。
はじめましてのみなさんと分かちあう場を設えてゆく難しさも感じつつでしたが、一緒に過ごした時間や手渡した体験・記憶の欠片たちが、みなさんやみなさんがこれから関わってゆく子どもたちの「わたし」をみつめるためのみちしるべになることを願っています。
少しですが、当日お話したスライドの一部も置いておきます。



スライドの一部はこちら












スライドを交えたわたしからのお話のあとは、「わたし」を分かちあうのひとつのかたちとして、大学や病院、地域で儀賀さんとともに「わたし」をみつめてきた時間のことや、共同制作した歌やZINEを紹介しました。









わたしのがん体験を綴った詩を読んだ儀賀さんがメロディをつけ歌にしてくださった「ココロイシ」「汀の虹」という2つの抒情歌。「“いえないいたみ”を抱えたわたしが、緩和ケア医の儀賀理暁さんとみつめたことばたち」というテーマで、歌の制作も含めたさまざまな協働の過程で交わしてきたことばの記録をまとめたZINE『掬(きく)することば』。
「大切なもの」を表現しあい、分かちあうことで和らぐものや育まれるもの。「独り」では難しくても「誰か」とならみつめられるもの。愛おしい、うれしい、伝えたい、かなしい、くるしい、いえない(言えない・癒えない)、いえる(言える・癒える)…どんな色合いのものも「大切なもの」として、ともにみつめ、分かちあってゆけたらいいなというささやかな願いもこめて、お贈りしました。
一人ひとりの顔がみえ、声がきこえる少人数の講義だからこその響きあいに立ち会うことができ、振り返るととても濃密であっという間の180分でしたが、学生のみなさんにとってどのような時間になったでしょうか。
これから先、ご自身や関わる子どもたちの「わたし」をみつめ、耳を澄ませる時に、ふと記憶に薫るような瞬間があったらうれしいなと思います。
180分をご一緒してくださった学生のみなさん、そして貴重な機会をくださった儀賀さん、本当にありがとうございました。


