2019-01-25

「巡る」#掬することば

Flowers 「エクスプレッション」(2017.1 花店note)

 

2月4日の「World Cancer Day」に向けて、豆本詩集『汀の虹』の詩を、1日1篇ずつ置いています。19篇目は「巡る」です。


季節が2周するまでは、ただただ堂々巡りしているような気持ちでした。

春の風を感じると、流産や治療の記憶がぶり返し、夏の日差しでまた寛解から1年経ったことを実感する。秋になると「産まれていたら何歳か」と数えてしまうので、仕事をたくさん入れてしまう。冬になると、また春が巡ってくることがこわくなる。

いつまで経っても、同じところをぐるぐるしているような。

 

『ココロイシ』を制作して、今まで表現できずに抱えていたものを少しずつ整理して「交わすこと」ができるようになった3周目の春から、気持ちが少しずつ変わってきました。

同じ季節を巡ってはいても、細々とでも、時にこんがらがりながらでも、目を逸らすことはせず見つめ、考え続けてきた日々。その途切れずに続いた時間が、細いながらも道となって、のこっていきました。

その軌跡を辿ると、決して同じ道ではない。続けるうちに、深まり広がるものもあるんだなと教わった3年でした。

それは本人の努力以上に、まわりの存在があってこそだったというのは、今になって気づいたことでした。本人が気がすむまで、納得いくまで、自分なりに描き続けることをあたたかく見守り受けとめてくれた人がいた。だからこそ気がすむまで、納得いくまで巡ることができたんだなと感じています。

 

最後に添えた映画は、がんになる前年、町の映画祭の企画に関わっていた頃に何度も観た映画です。

「選択と結果、選択と結果。その積み重ねが今だろう」という台詞も、モノクロームのワンシーンワンシーンの中を生きていた人たちの佇まいが忘れられません。

それぞれの歌にも「それでも生きてゆこう」と思う力をもらった気がします。

めぐる【巡る】
1 周囲をまわる。周囲に沿って進む。
2 周囲を取り囲む。取り巻く。
3 あちこちまわり歩く。巡回する。
4 まわって再びもとに返る。
5 ある事柄を中心としてそのことに関連する。
6 一点を中心として回転する。
7 輪廻 (りんね) する。
8 この世に生きる。世の中に交わる。
(デジタル大辞泉)

『汀の虹』のみちしるべ 
『汀の虹』は、がんによる孤独の中で握りしめていた“ことばの欠片”を道標に制作しています。握りしめていた“ことばの欠片”の大半は、それまでの人生で大切な人から贈られたことばや、何度も触れた本や音楽、映画のことばでした。

そこからことばをひとつ手にとってはタイトルとして置き、心の奥に沈んだ治療前後の記憶を一つずつ掬い上げ、重ね綴っています。この本や歌、映画の中にあることばや情景をみちしるべにしていたような…という作品のタイトルだけ、最後に添えていきます。(以下、敬称略)

「巡る」
三宅唱『Playback』
Mr.Children『もっと』
BUMP OF CHICKEN『ギルド』『fire Sign』

Visit Us On TwitterVisit Us On FacebookVisit Us On Instagram
タグ:
関連記事
Schedule

Event / Exhibition / WS
おとどけ「あのねカフェ」本づくりの講師*オンラインにて 10/25予定

////////////////
記憶のアトリエ
※安心して開催できる状況になるまで、アトリエの開催はお休みしています