【Report】「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」がん体験者の語り 登壇(2025)

2025年7月26日(土)~7月27日(日)、公益財団法人 日本臨床腫瘍学会主催の「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」にて、がん経験者として体験談をお話する機会をいただきました。
腫瘍内科医を志す医学生、初期研修医、専攻医のみなさんが集まり、同じ志をもつ仲間とともに学び・語り合い、これからのキャリアを考えるきっかけとなる場として2018年から開催されてきたというこのセミナー。2023年、2024年に引き続いて、プログラムの中の「がん体験者の語り」の時間でがん体験の講演のお声がけをいただきました。
このセミナーでは「Cancer Journey」をテーマに一人の患者さんの人生に腫瘍内科医としてどう伴走してゆくかを考えるというグループワークがあり、そのワーク議論を醸成する一助となるようながんの体験談をお話するという役割をいただいています。
初めてご依頼いただいた時は「腫瘍内科医の先生に治療していただいた経験もなく、抗がん剤治療を受けた経験はあるとはいえ9年も前で再発もなく寛解・治癒した体験しかないわたしでよいのだろうか?」と不安でいっぱいでしたが、3年目もご依頼をいただき、今年の精一杯をお渡ししてきました。



今年もテーマや大枠の構成は変えず、わたしの「Cancer Journey」~患者が「いえる(言える・癒える)」助けとなる関わりとは~という言葉を据えました。
がんという「わたし」そのものを揺さぶられるような体験にのまれてなかなか本音が「いえなかった(言えなかった・癒えなかった)」患者としての体験と、周囲の助けを得て「いえる(言える・癒える)」ようになった罹患後11年の「Cancer Journey」について。過去2年のグループワークでの参加者のみなさんの議論や講演に対するご感想を思い出しながら、必要だと感じた患者情報や状況説明を補足したり、その分他のところを削ったり、改悪にならないようにと気を揉みながら調整を重ねました。
「言えない」からこそ「癒えてゆかない」もの。そんな「いえなさ」を抱えた患者の「これまで」や「今の気持ち」を一緒に見つめてくれた専門職の関わりで、少しずつ「言える」ようになり、自らの「これから」を見出し「癒えて」いった日々のこと。あくまで個人的な体験からお話できる範囲ですが、昨年よりもまた少し本音に近づいた内容をお話できたかなと思います。
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今年も、最後に追加したメッセージがありました。それは、過去2年間の研修会の後に話かけてくださった先生方が、あたたかく声をかけてくださったということでした。
毎年さまざまな専門性の方々が集う学会や研修会、講義等で体験をお話する機会を重ね、きいてくださった方々から感想をいただいていますが、この研修会に参加されている先生方はどの先生も、毎回、お一人おひとり今まで関わってこられた患者さんやご家族さんとの記憶を重ねながら真剣なまなざしでご自身の言葉で感じたことを教えてくださり、日々目の前の患者さんやご家族を想いながら診療されているのだなと、いち患者としてとても心強く有難く感じます。
なので今年もその素直な気持ちをお伝えしたくて、腫瘍内科という領域に関心を寄せ志すみなさん、腫瘍内科医の育成に尽力されているみなさんへの最後のメッセージとしてお伝えしました。少しでもその想いがお伝えできていたらうれしいです。
11年を振り返ると本当にいろんな場で医療者の皆さんに体験をお伝えする機会をいただいてきましたが、今日も「わたしなんかの体験談でいいのか」と葛藤があります。
古い体験談で今とは治療環境や
ケアや支援のあり方も変わっているだろうし、もっと大変な体験をしている人や治療のさなかにある人もたくさんいるし、がんそのものは最善に近い形で抑え込んでいただけて再発もしていないのに中々人生を立て直すことができなかった後ろ向きな事例だし、患者さんも価値観やがんとの向き合い方もいろんな多様性があるし。
講演をしたいという強い気持ちや主張したい強い思いがある人がいるなら、その人がしてくれたらいいと本当に思います。
それでも「藤田さんにお願いしたい」とご依頼をいただくときは、自分なりにその会の目的や参加者のみなさんの日常や体験談が果たすべき役割を丁寧に伺って、考えて考えて葛藤しながらできる限り等身大の患者のありのままの中からその体験談パートで必要とされることを悩みながら置いている日々です。
最初の数年の講演は今振り返ると反省だらけなのですが、きいてくださったみなさんの反応を真摯に受けとめ、少しずつ伝え方も変えながら、今は前向きな体験談ではないからこそ患者の一方的な語りにならないように。
こんなにつらくて悲しくて苦しかったというような伝わり方にはならないように、医療者の方を責めたり何かを強いたりするような伝わり方にならないように、何より今治療のさなかにある患者さんとご家族さんと医療者のみなさんがよりよい関わりを模索できる種になるようにとは思っているのですが、多様な患者さんのみんなの気持ちや価値観を包括する話というのは難しいというか無理で、自分では役不足なんだろうなとも思います。
真摯にきいて受けとめて自分の臨床に引き寄せて考えてくださる医療者のみなさんに助けられての日々ですが、その方々が関わる患者さんやご家族はもちろん、医療者のみなさんご自身にとってもすこしでもよりよい人生につながったらなと、そんなことを心から思います。
体験談については、指名で依頼がある限りは都度その場所やこれからのがん医療に必要なかたちを悩み続けながらやっていきたいなと思います。
最後になりましたが、今年もあたたかく迎えてくださり、細やかなお心配りとともに企画運営をしてくださった日本臨床腫瘍学会のみなさん、本当にありがとうございました。人との出会いや再会に支えられていることを改めて感じながら、これからも一つひとつのご依頼に精一杯向き合いできることを重ねていきたいと思います。
参加者のみなさんが綴ってくださったレポートも公開されていました。拙い体験談を受けとってくださりありがとうございました。
みなさんのこれからを、陰ながら応援しています。
>>医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー(MOS2025 in Summer)報告
