2023年9月23日(土)、がん医療に従事されている医療者のみなさんが集う研修会にて、昨年に続き希少がん経験者として体験談をおはなしする機会をいただきました。
昨年は「わたしの“いたみ”の記憶」という題で、「いえないいたみ」……言えない(癒えない)痛み(傷み・悼み)という言葉のもと、流産からの絨毛がんの経験を振り返りお話をさせていただきました。
「いえない」(言えない・癒えない)という言葉にとても反響をいただいたので、その表現はそのままに。きいてくださったみなさんからの質問や感想を思い返しながら、今年は少しだけ視野を広げて「患者がいたみを“いえる(言える・癒える)”助けとなる関わりとは」という題で、いえなかった(言えなかった・癒えなかった)患者がいたみをいえる助けとなった周囲の関わりをより丁寧にお伝えする構成に変えておはなししました。
まずはがんがもたらした“いたみ”の中でも、特に体以外の“いたみ”の理由となった「コントラスト」のこと。「正しい説明」や「周囲の期待」で飲み込んでしまった“いたみ”のこと。
そんな「言えない患者」となったわたしの“いたみ”を感じとり、触れてくださった看護師さんのこと。治療後にあとからやってきた“いたみ”と、それを受け止めてくれた人や場所のこと。
その人の関わりの中で、患者のわたしが「いえた(言えた・癒えた)」のはどうしてだろう?というところをもう少し丁寧に、罹患して9年という月日をかけてみつめてきた今の自分の言葉で精一杯お伝えしました。
また、今年は研修会全体の中での自分の役割をよりしっかりみつめたいという思いから、会の最初から終わりまで参加させていただきました。
がんの体験談の前後に、参加者のみなさんがどのような時間を過ごされているのか。その時間や日々のお仕事のなかで、参加者のみなさんがどのようなことを感じ、考え、集まっていらっしゃるのか。自分自身もその研修会全体の流れの中に居て、多職種のみなさんの声をきかせていただくことで、より細やかに感じることができたように思います。
そして体験談の前後も含めて、参加者・運営者のみなさんが一声ひと声、それぞれの専門職のまなざしとご自身の言葉で感じたことをお話してくださり、いただいた気づきや学びの種もたくさんありました。いただいた言葉は心の中に留めて育み、明日からの日々に生かしていきたいと思います。
最後に、今年のスライドも少しだけ置いておきます。
今年もお声がけくださり、お聴きくださったみなさん、本当にありがとうございました。これからもともに考える一人として、一つひとつのご依頼に精一杯向きあいながらできることを重ねていきます。