2023年7月1日、michi-siruveは開業から丸8年を迎えました。
このWebサイト自体を開設したのは、20代最後の秋の2013年9月1日なので、活動自体は丸9年。開設当初は、個人のライフワークとしてはじめた「記憶」を綴じるZINE制作のアーカイブの場としてささやかにひらいた場でした。
Webをつくるにはドメインとロゴが必要だな…と、あれこれ考えてもよいものが浮かばず、やりたいことと屋号の候補をつらつと母にメッセージをしてみてかえってきたのが「みちしるべ。(名前が)みちよだから」という短いメッセージ。それがmichi-siruveのはじまりでした。
ただ「michishirube」ではどのドメインも全部埋まっていて、困ったなぁと。一人きりの活動で営利目的でもないのでSEOなんてどうでもよいやとなり、商用利用可の筆記体フォントを「道」にみたてて、一字ずつが道標のようにみえるロゴに。「bをvに変えてhを抜いたらなんとなくかわいかった」という理由だけで「michi-siruve」にしました。
“michi-siruve”(みちしるべ)には「道端にそっと立つ道標のように、手にとった人のみちしるべとなる作品をのこしていきたい」という想いがこめられています。
たとえば、とある人が大切にしているものに宿る、持ち主の記憶や生きてきた軌跡。
慌ただしく過ぎる日々からこぼれ落ち、儚く消えてしまうもの。
そして誰かに伝え、届けたい想い。
それぞれに寄り添い、“大切な記憶”を掬いあげ、そっと綴じながら、ささやかな“みちしるべ”をのこしてゆく。
そんなmichi-siruve (みちしるべ)の、見つめ、考え続ける営みのようなもの。静かにはじめます。
(2013.9.1「michi-siruve (みちしるべ)、はじめます」より)
幸いやりたいことははっきりしていたので、勢いではじめたにしてはそれっぽい屋号になり、2013年の秋から個人的な記憶からささやかに綴じはじめていました。
その半年後、初めての妊娠が一転して流産からの絨毛がんの治療に。育むはずだったいのちも、子どもと重ねるはずだった未来も、生きる自信も、働く力もすべて失い空っぽになったわたしの手の中で唯一のこっていたのが、michi-siruveという屋号とこのWebサイトでした。
丸1年の療養期間を経て、その屋号を引き継ぐかたちでフリーランスとして開業。元通りにならない体や再発の不安を抱えながらも、目の前のご依頼一つひとつと向き合いお預かりした想いをかたちにすることを続けるうちに、少しずつ協働の記録が積み重なり、出会いも広がりました。
暮らしの変化にともない活動のかたちやペースも変わりましたが、気がつくとがんの治療からも8年が経ち、この体で生きてゆく力も少しずつ取り戻し、michi-siruveも生きている限りは続けてゆきたいという前向きな気持ちになっていました。そのしるしとして、2022年はオリジナルのロゴを美術家、ダンサー、グラフィックデザイナーの升田学さんに依頼。あたらしいロゴをみちしるべに、Webサイトもリニューアルしました。
そして迎えた2023年。「がん罹患から丸10年」の節目を来年に控える大切なタイミングで、もう1つだけ後まわしにしていたこと……8年前に撮ったきりだったプロフィール写真を撮りなおすことに決めました。
講演やアトリエの仕事でなにかと必要になる顔写真ですが、元々写真を撮られるのが苦手。特にがんの治療以降は、治療の影響やその後の不調が現れている自分の容姿をみるのがつらく、あらためて撮る気持ちになれずにずるずると放置していました。
さすがに今のわたしとの乖離が大きくなり、この2〜3年は撮影していただけるフォトグラファーさんを探していましたが、「プロフィール写真」で調べて出てくるのはどうしてもかっちりした写真。「普段のわたし」から離れないことを大切に、ほんの少しだけ撮り手の力も借りたい。できれば今暮らしている町に縁のあるフォトグラファーさんにお願いしたい。
そんな想いであれこれ探していて出会ったのが、大阪の同じ市内、緑地公園にフォトアトリエがあるnijiiro filmさんでした。
写真が溢れている今の時代にも、
( nijiiro film さんのWebサイトより )
その人の心に響く写真を残していく
その一枚で心豊かな暮らしになるように
写真で幸せを「彩り」続けます
そんな想いを込めて
WebサイトやInstagramの写真1枚1枚とそこに添えられた言葉から、人へのあたたかなまなざしと写真で関わることへの想いが伝わってきて、ぜひお願いしたいなと。結婚写真や家族写真を中心に撮影されていたのでプロフィール写真を受けていただけるのか心配でしたが、問い合わせるとお願いできるとのお返事。ちょうど予定の合った6月の晴れた日に、緑地公園のフォトアトリエへ伺いました。
アトリエの扉をひらくと、高い天井に広がるやさしい白。植物と柔らかなひかりに満ちた静かな空間。
迎えてくださったnijiiro filmの米田さんと柴田さんも、写真や言葉の印象そのままのあたたかい笑顔と声とお人柄でほっとできる時間に。michi-siruveの活動やどのような写真が必要かをじっくりときいてくださいました。
医療関係の講演やアトリエの案内で使用する写真なので、「普段のわたし」と離れすぎない雰囲気で。医療に近い場所に届けるからこそ、お二人のあたたかさも感じられる写真だとうれしい。その気持ちを大切に撮影をすすめてくださいました。
ヘアメイクでは繊細な彩りやスタイリングを、撮影では自然光のやわらかい光と撮り手のあたたかいまなざしを。お二人のプロの彩りの力で一人では撮れないあたたかな写真になり、その時間も含めて大切にしたい思い出となりました。
いただいた写真はどれも「わたし」で、どれをWebサイトに載せるか迷うほど。友人にもみてもらって、一番「らしい」と反応をもらえたこの写真をこれからのプロフィール写真にしたいと思います。
「これから」への意志を伝えるような場では、まっすぐ前をみつめた写真を。子どもたちのためのアトリエをひらく時は、「本の人」とわかるようにmichi-siruveの大きな本を抱えた写真を。
他にもすてきな写真をたくさんいただきましたが、自分の写真ばかりたくさん載せるのはなんだか照れくさいのでこのあたりに。
写真が溢れている今の時代にも、
( nijiiro film さんのWebサイトより )
その人の心に響く写真を残していく
その一枚で心豊かな暮らしになるように
写真で幸せを「彩り」続けます
そんな想いを込めて
その言葉のとおり、お二人の感性とあたたかなまなざしの「彩り」を本当にありがとうございました。
今回はプロフィール写真でしたが、nijiiro filmさんの結婚写真や家族写真もとってもすてきなので、気になる方はぜひInstagramをのぞいてみてください。
こうしてさまざまなみなさんの感性や専門性の力をお借りしながら、michi-siruveは丸8年を迎えました。みなさんのお力をお借りしながら、ささやかながら活動を続けてゆきたいと思います。
これからもmichi-siruveをよろしくお願いいたします。
いろ‐どり【彩り/色取り】
(デジタル大辞泉)
1 色をつけること。彩色。
2 色の配合。配色。
3 おもしろみや風情、華やかさなどを付け加えること。