2019-12-29

【Report】「20年の“大切”を綴じる」ZINEワークショップ@ピピアめふ

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2019年12月22日(日)13:30-16:30まで、兵庫県宝塚市の阪急売布神社駅前にあるピピアめふさんで「20年の“大切”を綴じる」というZINEワークショップをひらきました。

1995年に発生した阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた兵庫県宝塚市の売布神社駅前地区。震災から4年後の1999年に誕生したピピアめふは、今年で20周年を迎えました。

その20周年企画として、ピピアめふができてからと同じ“この20 年間”の参加者のみなさんの記憶を持ち寄り、CDサイズの小さな手製本に綴じながら振り返るワークショップをひらくことに。普段わたしが病院などでひらいている「記憶のアトリエ」で並べている手製本や本づくりの道具を、ピピアめふに持ち込みました。

会場はピピアめふの6階会議室。あいにくの雨模様で残念でしたが、大きな窓のある壁一面に宝塚の山並みが広がります。屋上庭園の奥にはお茶室も。いつも5階の映画館シネ・ピピアには行っていたのですが、その上にこんな空間が広がっているとは知りませんでした。これが20年も前に作られたというのは中々すごいことだなと思います。

ピピアめふのスタッフのみなさんにもお手伝いいただきながら、会議室をアトリエ仕様に。参加者のみなさんができるだけ他の参加者の方々の制作のリズムや表現を感じられるように、部屋の真ん中に机を集めて大きな本づくりの島をつくります。

窓際には制作のヒントになるミニギャラリーとして、いつもアトリエに置いている「誰かの“大切な記憶”を綴じた本」を並べます。

一通り並べ終わった頃、5階のシネ・ピピアの支配人でもある景山理さんが覗いてくださいました。

今から6年前、このmichi-siruveのWebサイトを立ち上げて最初に載せた「記憶」にまつわる制作物『』「映画の都」に寄せるもの』 (前篇後篇 / 編集後記)というインタビュー記事に取材協力くださった景山さん。それから間もなくわたしががんになり、突然の抗がん剤治療。当時お手伝いた宝塚映画祭の実行委員も辞め、シネ・ピピアにもすっかり行けなくなっていました。そんなわたしが来ることを知って、景山さんが会場まで覗いてくださったのでした。

5年ぶりの再会。ミニギャラリーに並べていた手製本や掲載された雑誌や新聞の記事を眺めながら「元気になって何よりだね」「コツコツ続けてたらこうして形になるんだね」「体に気を付けて頑張ってね」と、笑顔で励ましてくださいました。こうして声をかけてくださる方の一声一声に、いつも力をもらっています。

ご自身の記憶を振り返る本づくりのワークショップというのは、振り返る準備も必要で中々ハードルが高いものです。さらに今回は、師走というとっても忙しい時期に“20年を振り返る”という大仕事。

当日まで「果たして人が集まるのだろうか……」と不安だったのですが、結局は本づくりの大きな島にぐるりといっぱい。親子でのご参加も含めて9名のみなさんがお越しくださいました。

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ワークショップはピピアめふさんから20周年のご挨拶からはじまり、わたしの自己紹介と今回お越しくださったみなさんがお持ちになった“大切”をくるりと1周シェアする時間に。ここでは綴りませんが、お近くから遠方から、みなさんそれぞれの“大切”な記憶をお持ちくださいました。

数年前のわたしの個展にお越しくださった方や、いつも「記憶のアトリエ」にお越しくださる方。チラシやWebサイトの案内に偶然辿り着き、初めてお越しくださった方。ご参加のきっかけもさまざまでした。

そんなことをみなさんで共有してから、本づくりの時間に。まずはこちらで準備した20年分の記憶がおさまる5色の手製本と、その手製本を使って友人とわたしが実際に制作したそれぞれの20年のサンプルを並べて、みなさんの記憶を綴じる1冊を選ぶことに。

みなさん、友人が綴じてくれた記憶の宝箱をそっと覗きながらイメージを膨らませてご自身の1冊を選んでくださいました。

ご自身の1冊が決まれば、あとはそれぞれの本づくりの時間。アトリエにある道具や素材、本づくりのアイデアを少しお伝えして、あとはわたしが本づくりの島をくるくる周りながら、お一人おひとりとおはなししながらでした。

その際写真におさめさせていただいたいくつかの写真だけ、ここにもそっと置かせていただきます。

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最後に、とても「記憶のアトリエ」だなぁと思ったエピソードをひとつだけ。一番遠方からご参加くださった方は、ご家族の大切な記憶を本に綴じるためにお越しくださいました。

今までアトリエにお越しくださった方がアトリエに贈ってくださった記憶の欠片を丁寧にご覧くださり、お持ちになったご家族の思い出に添えるものを一つずつ選んでくださっていて。表紙にもアトリエの小箱に仕舞っていた「MEMORIES」の文字を選んで添えてくださいました。

この「MEMORIES」の文字は、実はその一月前にわたしの母校でもある関西学院大学の藤井美和先生のゼミで「大切なものを見つめるワークショップ」をひらいた時、学生さんが下敷きに試し書きされていた文字でした。

それをなんとなく、わたしが箱に仕舞って残していて。その文字か別の方の“大切な記憶”に。その方がワークショップにご参加くださったのは、わたしが藤井美和先生のゼミを訪れた時のWebレポートを偶然見つけてくださったというご縁からでした。

思わずその場で「MEMORIES」の持ち主に伝えると、とても驚いていらっしゃいました。ことばでは何も伝えていないのに、そこにあるものを介して生まれたささやかだけれど嬉しい偶然。 この5年、小さく続けてよかったな。「記憶のアトリエ」をはじめてよかったな。そう思えた瞬間でした。

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今回のワークショップは3時間。3時間のワークショップといえばそれなりに長時間ですが、20年を綴じるには足りませんよね。みなさんにお尋ねして、最後のお茶の時間も制作タイムに。それでも辿りきれなかったページは持ち帰ってからもみなさんのタイミングで完成できるように、必要な素材などを包んでお持ち帰りいただきました。

完成こそしていませんが、みなさん本と記憶に触れるひとときをたのしんでくださったようで何よりです。「完成したら、良かったら見せてくださいねー」とお見送りして、ワークショップを終えました。ご参加くださったみなさま、また今回の企画にお声がけくださったメディアピクニックの岩淵さん、会場のピピアめふさん、本当にありがとうございました。

最後に、このワークショップ開催にあたり、企画者の岩淵さんが添えてくださっていたうれしい紹介文を。

ZINE作家で、宝塚市立図書館のプロジェクト「みんなのたからづかマチ文庫」でアドバイザーも務める藤田理代さんの「20年の《大切》をとじる」。ピピアめふ20周年に合わせて、この20年間にそれぞれに起きたことを写真と文字で1冊の本にとじるワークショップを行っていただきます。
 
藤田さんは、家族の介護や自身のがん闘病の経験から、人の想いや記憶を1冊に手製本にとじる活動を続けてきました。 「表現としてのメディア」というイメージが強いZINEですが、藤田さんにとってのZINEづくりは個人の想いや記憶に向き合うプロセスであり、それを綴るときの手つきであり、本にしたことによって新たに生まれる関係性なんだと思います。
 
ぜひこの機会に、あなた自身の20年間と向き合い、そして1冊の本に綴じてみてください。きっと豊かで意味のある時間になると思います。

「プロセスであり、手つきであり、関係性」わたしがZINEの制作やアトリエで最も大切にしていることは、まさに岩淵さんが添えてくださったこの“かたちのないもの”の部分なんだとも思います。そんなことを改めて見つめるひとときにもなりました。

これにて、2019年のmichi-siruveのアトリエやワークショップは一区切り。来年もまた、本と記憶とともにお声がけくださった場所へ伺う予定です。

さまざまな経験の「そのあと」を生きるわたしたちが、本と記憶とともにできること。これからも考えて続けていきます。これからもよろしくお願いいたします。

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