今から12年前、大学4年生のお正月から何となく続けている今年の一文字。
2006年 凛(りん)
2007年 彩(いろどり)
2008年 道(みち)
2009年 生(いきる)
2010年 創(つくる)
2011年 挑(いどむ)
2012年 感(かんじる)
2013年 編(あむ)
2014年 磨(みがく)
2015年 理(ことわり)
2016年 繋(つなぐ)
2017年 響(ひびき)
2018年 深(ふかめる)
2019年 澄(すむ)
2020年 開(ひらく)
(凛から理までの理由はこちら)
2021年は「切(せつ)」という一文字でした。
せつ【切】
(デジタル大辞泉)
1 心をこめてするさま。ねんごろ。せち。
2 身にしみて強く感じるさま。せち。
3 さしせまった事情にあるさま。非常に厳しいさま。せち。
これまでの日常が大きく変わってしまった2020年を経た、2021年。この1年を振り返るために自分があちこちに書き残したことばの欠片を集めましたが、大きな変化のさなかにあった2020年と比べると、この1年はあまり「ことば」にしたことがなかった、できなかった1年でした。
失った「そのあと」の日々に区切りがつくことはなく、気づくとそれが「あたらしい日常」として上塗りされていていた日々。その日常を受け入れる、受け入れないなんて主体的に向き合うこともできず、必死に今日を何とか生きているうちに1年が経ってしまったような。
流産とがんに直面した1年を乗り切ったあとの1年……2015年頃の記憶とどこか重なることも多く「しんどい1年だったな」というのが一人の人間としての正直なところです。
「しんどい」のさなかにあると、ことばにすることが難しくなる。そのこともあらためて実感しましたが、異なる経験のなかにまた一つ重なるしんどさを感じたことで、そのなかでも自分が大切にしたいことが何なのか見つめて感じとるきっかけにもなりました。
この6年間で続けてきた手製本…つまりは、ことばを掬い、見つめ、綴じ、交わす時間の積み重ねも「そのあと」の日々を生きる助けになりました。
「場をともにする」というかたちはまだまだ難しかった日々で、表向きは展示も移動アトリエもなく、誰かと五感をともにしながら交し合うような機会を持つことは叶いませんでしたが「何もしていなかったのか」というとそんなことはまったくなく。
お声がけいただいてオンラインのささやかな集まりでがんの経験や手製本の活動についておはなししたり、手製本やメディア制作、ワークショップのご相談やご依頼をいただいたり。お声がけいただいたお一人お一人と、今切実に感じていることや大切にしたいことを静かに交わしあうにながら、今できることを積み重ねることができた1年でもありました。
まだレポートにはなっていませんが、ようやく年末のお休みにも入り心落ち着ける時間もできたので少しずつことばにしていきたいと思います。
春を待つ土のなかの小さな種のように静かに自分と向き合い、時を待った2021年。その日々のなかで見出した、今のわたしの「切」は2022年の一文字に綴りたいと思います。
みなさんの2021年はどんな1年だったでしょうか?そんなことも、またお聴きしたいです。少し早いですが、今年もいろんなかたちで交流してくださったみなさま、見守ってくださっていたみなさま、本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。