『汀の虹』 二.「海霧」 (2017)
がんを経験した3年間の“心の揺れ”を小さな詩と花にこめた豆本詩集。
memo
□ 汀にも花にもなる豆本
□ “透ける紙”と“折り”だけで
□ 言えない(癒えない)いたみ
data
70mm×70mm/24ページ
トレーシングペーパー/蛇腹製本(ケース入り)
2017年8月7日発行
写真・詩・編集 藤田理代 (michi-siruve)
二.「海霧」
汀の虹
海霧
探る
滲む
揺らぐ
手放す
石を拾う
そっと置く
響き
巡る
『汀(みぎわ)の虹』は、小さな花と詩を綴じた豆本詩集です。「傍におきたい詩だけお贈りできたら」 という想いから、本に綴じている詩も花の写真も出し入れが自由にできるかたちにした手製本。小さな三角形のケースから豆本を取り出すと、蕾のように膨らんだり波のようにのびたり、くるりとまわして付属のクリップで留めると花のような形で飾ることもできます。
全3巻に分けて28篇の詩に綴られた記憶は、4年前に希少がんをを経験した著者の心の揺れです。「一.深淵」は、がんを告げられベッドに沈みながら治療に耐えた日々の記憶。「二.海霧」は、失ったものを憂い、霧の中にいた日々の記憶。「三.汀の虹」は、他者との出会いや関わりの中で、少しずつ歩みはじめた日々の記憶。
喪失から生まれるかなしみ、くるしみ、孤独。がんであってもなくて、生きている中で誰しもが感じるものとも通じる感情を一つずつ掬い上げ、そっと本にとじこめています。