「関(かかわる)」#掬することば

今から14年前、大学4年生のお正月から何となく続けている今年の一文字。

2006年 凛(りん)
2007年 彩(いろどり)
2008年 道(みち)
2009年 生(いきる)
2010年 創(つくる)
2011年 挑(いどむ)
2012年 感(かんじる)
2013年 編(あむ)
2014年 磨(みがく)
2015年 理(ことわり)
2016年 繋(つなぐ)
2017年 響(ひびき)
2018年 深(ふかめる)
2019年 澄(すむ)
2020年 開(ひらく)
2021年 切(せつ)

2022年 時(とき)

(凛から理までの理由はこちら

2023年は「関(かかわる)」という一文字にしました。

かかわ・る【関わる/▽係わる/▽拘る】
1 関係をもつ。関係する。
2 重大なつながりをもつ。影響が及ぶ。
3 (拘る)こだわる。

デジタル大辞泉

2022年の秋、作品展示とトークセッションのゲストという形で参加させていただいた企画展「ホスピタルアートinギャラリーIV」。最終日のトークセッション「ホスピタルアートを考えるその前に」でキーワードとしてトークのまんなかにあったのが、「関わり」という言葉でした。

michi-siruveの手製本が、綴じ手と依頼主の“丁寧な関わり”のなかで綴られたものであるということ。その丁寧な関係性が細部に宿っていて、本に触れた人にも「この人と関わって、その道のりのなかで委ねるように、もしくは交わすように歩める時間を持ちたい」と感じさせるのでは?ということ。

michi-siruveが綴じ手として大切にしてきたことは、作品からも感じられる。そんな嬉しいメッセージでした。

michi-siruveは、ZINE(手製本)の制作や病院や地域での移動アトリエの活動を通じて、ご依頼主さまお一人おひとりとさまざまな関わりを続けています。

大切にしているのは、言葉の奥にある“心の種”に耳を澄ませること。そしてその種を一緒に育みながら、芽のような、蕾のような、小さな花のような、心の灯のような…ささやかでもあたたかなものを一緒に育み見つめてゆくこと。そんな想いを、小さなロゴにこめて活動しています。michi-siruveプロフィールより)

michi-siruveのプロフィールにも「ご依頼主さまお一人おひとりとさまざまな関わりを続けています」という一文があります。そして、その「さまざま」こそが、michi-siruveの活動で大切にしていることです。

関わり方も関わる人もできる限り限定せず、境界をつくらず包容力のある活動でありたい。いろんな一人ひとりと関わりその異なりを知り、グラデーションを感じられる活動でありたい。そしてその異なりのなかでの重なりや響きあいを感じあい、見いだしていきたい。そんな想いをいっそう強くしています。

2023年も、ひとつ、ふたつ、みっつ……とうれしいご依頼やご相談をいただいています。「今年もまた」と継続していただくご依頼もあれば、2022年の出会いや再会のなかで「ぜひ一緒に」というご相談もある。どちらも本当に嬉しくて、今年も一つひとつのご依頼から丁寧に関わり、交わしあいながら一緒に時を重ねていきたい。そんな気持ちでいっぱいです。


そんなことを考えながらふと顔を上げると、アトリエに射し込むあたたかな夕陽の先で、シロツメクサの花たちが小さく微笑んでいました。

シロツメクサの絵
「シロツメクサ」小池アミイゴさん作(michi-siruveアトリエにて)

2020年2月、感染症の足音が近づいていた頃、生まれて初めて購入した小池アミイゴさんの「シロツメクサ」という絵画作品。神戸のギャラリーにやってきたこの作品を抱きしめるように購入し、それから3年、ずっとアトリエに飾っています。

この絵を持ち帰った時、アミイゴさんにお送りしたメッセージにはこんなことを綴っていました。

みんなで咲いているこのシロツメクサの前で、一緒に笑える自分になれたことも嬉しいなって。

ささやかでも、みんなで咲いて、一緒に笑って。関わりのなかで、そんなあたたかいひとときをお贈りしてゆけたら。そんな気持ちもこめて、「関(かかわる)」の一文字をそっと置きます。2023年も、みなさんよろしくお願いいたします。

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